やっぱり手作りパンが好き

ご家庭でのパン作りをとことん応援します。長年のベーカリー経験とパン教室経験にもとづく、超解りやすい解説を心がけています。

美味しい食パンを作るためのお勧め製法とは・・・

 

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ご家庭で美味しい食パンつくってますか?

専門的にはパン作りには色々な製法というものがあるのですが、その中でも、 特にご家庭でのパン作りに絶対的におススメなのが、発酵種です。

様々な製法を試みた中で、もっとも簡単で、しかも最大級の効果を発揮するのがこの発酵種でした。

そこで今回は、発酵種の作り方とその効果について説明していきたいと思います。

 

 

発酵種の配合は以下の通りです。

 

最強力粉・・・・・・・・・・・100%

塩・・・・・・・・・・・・・・・・2%

インスタントイースト・・・・・0.7%

水・・・・・・・・・・・・・・・65%

モルトエキス・・・・・・・・・0.3% (なければいらない)

 

 

配合はいたってシンプルな、フランスパンの粉が最強力粉になっただけのものです。

ご家庭においても、良くフランスパンを作りますという方はモルトエキスと言うものをお持ちのことと思います。

製菓材料店でも簡単に手に入るものですので、シンプルなパンを今後も作ろうとお考えであれば是非ご用意してください。

モルトエキスは、インスタントイーストの活動を助け、パンにとても良い香りを与えてくれますし、クラスト(パンの表皮)が香ばしくなり、味も良くなります。

パウダーもありますが、ここではエキスをおススメしています。

モルトを入れないと美味しくならないというわけではありませんので、無い方は入れなくても問題はありません。

また、最強力粉(スーパーキングなど)というのは、グルテンの非常に強い小麦粉のことで、この小麦粉で作った方が安定したパンになります。

特に、パン生地の取り扱いに自信のない方は、スーパーキングを使っていただくことを強くお勧めしますが、慣れているよと言う方は、ご家庭でいつも使われている強力粉で構いません。

今回は発酵種の説明になりますが、どのようなパンを作る場合でも、強力粉はグルテンの強いもの(蛋白量の多いもの)を使う方が、よりふっくらとしたパンになります。

レシピに強力粉とある場合、その強力粉をスーパーキングにすることで、とても良く膨らむパンになりますよ。 

 

作り方はいたって簡単!!

 

全ての材料をボールに入れて、よく混ぜるだけです。

 

 

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捏ねるとかの必要はありませんので、3~5分ほどよく混ぜて下さい。

硬めなので、最後の方はもむような感じで混ぜましょう。

若干硬めの生地になりますので、手首が疲れますから手で混ぜることをお勧めします。

ヘラとかカード、あるいはホイッパやスプーンなどだととても疲れます。

どのくらい作るかにもよりますが、できるだけあらゆる工程を手で感じておく方が、確実にパン作りは進歩します。

とにかく多く生地に触れることで、手の平がパン生地の変化を読み取れるようになるのです。

もうすっかり自信がついた・・・と言うところで、手を汚さない作り方に移行してほしいと思います。

また、この種は三日ほど冷蔵庫で保存がききますので、せめて小麦粉300gくらいは作ってほしいと思います。

小麦粉300g分ということは、上記の配合(ベーカーズパーセント表記)の%をグラムと考えて3倍量作れば良いのです。

しっかりと混ぜた生地は、そのままボールの中で約60分発酵させます。

 

 

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かなり多めに作ったところです



24℃くらいが適温です。

室温で約60分発酵させたのち、ビニール袋(生地の3倍くらいの大きさ)に入れて閉じ、冷蔵庫で保存します。

翌日以降3日くらいで使い切ってください。

この発酵種をストレート法の配合に、10%から40%までを加える事で、ストレート法の欠点である風味の改良や、しっとり感、ソフト感が得られるのはもとより、キメの細かい日持ちのするパンが出来上がります。

 

特に食パンや菓子パンやロールパンなどは、通常の配合にこの発酵種を20%加えるだけで、格段にソフトなパンになり、日持ちも伸びます。

様々な用途がある発酵種ですが、まずは平均して20%を現在のレシピに加えてみてください。

投入のタイミングは、初めから投入して良いのですが、粉が飛び散りやすくなりますので、少し粉っぽさがなくなってきた頃入れるのが良いと思います。

当然のことながら、種は冷蔵発酵中に時間と共に発酵力が低下し、アルコール臭が増加してきます 。

ですから、何日目の発酵種をどのパンに使用するかを判断しながら、色々工夫していくことが大切です。

製造から三日間の間なら、特にどのようなパンに配合しても問題ないと思いますが、出来れば三日以内に使い切る方が良いと思います。

発酵種を配合に添加する際に、考慮しなければならないのは、塩分以外の配合をどうするかです。

発酵種自体に塩分がありますので、塩は問題ありませんが、発酵種を20%入れると、その分の糖分や油脂分などが薄くなるということなので、それを考慮してレシピを作り直すか、特にそのままでも問題はありませんので、そのまま行くかは、それぞれ試食を重ねて判断してください。

この発酵種をもう少し柔らかくしたいという意見もありますが、冷蔵中に水が出てかなり柔らかくなりますので、このくらいの硬さで行う方が安定していると言えます。

この発酵種は、作るのがとても簡単で、しかもPH(ペーハー)などを気にしたり、雑菌の繁殖を気にしたりする必要がありません。

 

にもかかわらず効果は絶大で、ご家庭でのパン作りにおける最大の悩みである捏ね方の足りない部分を補ってくれる効果、生地取り扱いに自信がなくてもグルテンを守ってくれる効果、そして何よりも風味が格段に良くなり、しかも焼成後の水分の蒸発を抑える効果があるので、しっとり感が長持ちします。

 

ちなみに私の顧問先は、すべてのパンにこの発酵種を使用していますが、お客様の反応は予想以上で、風味がいい・モチモチしている・のどごしがいい などの声をよく聞きます。

パン教室でも皆さん使われているようで、しっとり感やキメ細かさに驚かれているようです。

前日にたった五分だけミキシングした生地を、冷蔵庫に入れておくだけで、後は当日のストレート法の配合に入れるだけですから、これほど簡単で、しかも効果がある製法はありません。

 

どうぞお試しください。