ブルーベリーをたくさん頂いたので、思い切って贅沢にもすべてパンにしてしまいました。
こんな贅沢はパン屋さんではできませんから、もし頂けることがあったとしたら是非お試しくださいね。
あ、もちろん買って頂いても良いのですよ(笑)
今回は水分のほとんどをブルーベリーに置き換えて、きれいな紫色のパンを作ります。
酸っぱくならないように砂糖を多めに配合し、成形時にこれまた頂いたブルーベリーの酢漬けを散りばめました。
これは入れなくて十分フルーティーなパンになりますが、なんか寂しいとお感じでしたらレーズンでもいいと思います。
更に今回も冷蔵庫で低温発酵させて、翌日以降にパンにするというやり方で行います。
そうすることで、多少多めに捏ねたとしても、2~3日かけて焼くことができますし、発酵時間が短縮されますから、朝から焼きたてを食べることも不可能ではありませんよね。
さらに、なんと言っても低温発酵させたパンはしっとり感が違いますし、風味も格段に良くなりますのでオススメです。
ではまず配合から
またまた何回もしつこいようですが、ここでもベーカーズパーセントで説明させていただきます。
ベーカーズパーセントは、%の部分をグラムに変えれば、小麦粉の量が丁度100gになります。
小麦粉の量が100gの時の総合計量が213gになりますので、この何倍作りたいかで小麦粉の量を2倍・3倍と増やしていき、他の材料もそれに合わせて2倍・3倍と増やしていけばよいのです。
わざわざベーカーズパーセントで書いたのは、けして意地悪なのではなく、小麦粉の量を100として他の材料のバランスを見るというベーカーズパーセントの考え方を知ってほしいからなのです。
強力粉は何でも構いませんが、砂糖が多くブルーベリーの皮も同時に練り込みますので、ある程度強めの粉を使った方がうまくいくとは思います。
もちろん国産小麦粉などを使っても構わないのですが、やや膨らみが弱くなるとは思いますので、その点だけご注意いただきたいと思います。
<前準備>
片手鍋などを用意していただき、そこに配合の15%の水と20%の砂糖を入れて火にかけます。
一度沸騰したら弱火にし、軽く水洗いをしたブルーベリー全量を入れます。
再沸騰するまでそのまましばらくブルーベリーを煮込んでいき、再び沸騰してきたら火を止めます。
粗熱が取れるまでそのまま放置し、粗熱が取れたら冷蔵庫で一旦冷やします。
生地作り
ボールに小麦粉・砂糖・塩・イーストを入れてよく混ぜ合わせ、そこに煮たブルーベリー全量と加糖練乳を入れます。
粉っぽさがなくなるまで混ぜたら、あとは台の上で捏ねていくわけですが、今回のように砂糖が多くしっとりとしたパンを作りたい場合は、ある程度一生懸命捏ねていく方が良いでしょう。
ショートニングを入れる前に十分生地を捏ねるのがコツになります。
途中でショートニングを加えて混ぜたら、その後はあまり捏ねなくても大丈夫です。
ショートニングがしっかりと混ざったら、そこで終了していつものようにパンチで生地を作っていきます。
生地の温度は28℃くらいを目指してください。
発酵工程
捏ね上がった生地はそのまま捏ねていたボールなどに入れたまま、約20分ほど室温で発酵させます。
パンチ① 20分後にボールから取り出し、ややきつめに何度か丸め直します。
この時点からボールに残った生地はきれいに取り除いておいて、そこへ丸めた生地を入れて再び20分発酵させます。
これで40分の発酵となります。
パンチ② 20分後にボールから取り出した生地をきつめに丸め直し、またボールへ戻します。
これでパンチが2回、行われたことになります。
当然お分かりのこととは思いますが、生地の表面はなるべくきれいになるようにして入れて下さいね。
そして最後の20分発酵をとり、合計60分の発酵となります。
もし捏ね上げ温度が低くなったり、捏ね方が少ないと、膨らみが弱いかもしれません。
そんな時には発酵時間を追加して、膨らみをしっかりと確認してから冷蔵庫へ入れましょう。
今のような時期なら(7月)気にする必要はありませんが、冬場などは室温では冷えてしまう可能性がありますから、発酵室または暖かい場所で(26~30℃)発酵させましょう。
冷蔵発酵
生地がしっかりと膨らんでいることを確認したら、一度ある程度ガスを抜いてから冷蔵します。
何が何でも冷蔵庫へ保存しなければならない訳ではありませんが、この方が美味しくなりますし、二日から三日にかけて使用することが出来ますので、一度にある程度多めに捏ねておいて、数日かけて成形から行う方が効率的だと思います。
生地は冷蔵庫でも約3倍に膨らみます。
ですから、蓋から溢れないような入れ物を選んでくださいね。
ただし、ある程度ぎゅうぎゅうに入っていた方が生地には良いので、生地の量に対してあまり大きな入れ物を用意して、中がスカスカにならないように注意してくださいね。
発酵が終了した生地を出来ればステンレスか、あるいはアルミなどで出来たタッパーに入れて冷蔵庫で保存します。
もしプラスチックのタッパーでしたら、かなり膨らんできてしまいますので、冷蔵してから2時間くらい経過したら、一度しっかりとガスを抜いてあげてください。
捏ねが弱かったかなと感じるようなら小さめの入れ物、十分に捏ねられていてプリプリとした生地なら大きめの入れ物に入れて冷蔵してください。
冷蔵後数時間が経過してもあまり膨らんでこないようなら、それは捏ねが足りていません。
そんなときは、再びしっかりきつめに丸め直してから入れ物に戻して冷蔵してください。
一旦膨らんだ生地をよく潰ても、その後もある程度膨らんできますので、膨らみが 確認できたらその都度しっかりと潰しておきます。
成形と焼成
生地は冷蔵庫から取り出したらすぐに好みの重さに分割して丸めます。
必要量だけ分割したら、残りはまたすぐに冷蔵庫へ戻しておきましょう。
温かい場所でベンチタイムをとり、生地の温度が20℃位になったら成形を行ってください。
今回は9センチ角の食パン型で作っていきます。
温度が20℃くらいになってしっかりと膨らみを確認したら、綿棒にて平たく伸ばして今回はブルーベリーの酢漬けを散りばめます。
レーズンでも構いませんし、なくても構いません。
軽く巻き込んでいき、2分ほど休ませます。
休ませた生地を今度は縦に伸ばしていき、きつめに丸めていきます。
型にきれいな表面を上にしていれ、最終発酵をとっていきます。
砂糖の多い今回のような生地は、ある程度温度も湿度も高めに設定していきます。
(温度35~38℃・湿度70~75%)
焼成前の状態はこんな感じです。
蓋をして焼いてもよし、蓋をしなくても意外と可愛いパンになりますよ。
いつもそうですが、オーブンの温度設定や焼成時間等はここでは触れません。
なぜなら各ご家庭のオーブンはバラバラなこと、そして作る量も毎回必ず違うと思うからです。
すべて細かく説明しているサイトを見ると、私としてはある意味ゾッとします。
なぜかといいますと、いつも失敗してしまうという方からお話を聞いていると、そこで説明している温度と時間をそのまま信じて行う人が多いからです。
「ちょっと考えればわかりそうなこと・・・」だとは思うのですが、みなさんそこに書かれている温度や時間をそう簡単には変えられませんし、どう変えたら良いのかがしっくりこないようなのです。
ですので私はあえてその部分には触れずに、いつもご自分が焼かれている通りに焼いてほしいと考えています。
質問の多くは、「耳が硬い」とか「パサついている」という内容が多い通り、焼きすぎている方が多いことは事実です。
それは、焼けていないと大変だからという思いがよぎるからだと思います。
ただ、パンの場合は焼けていないとしっかりと生地感が残りますし、生焼けだった場合潰れてきたりします。
ですので比較的生焼けは発見しやすい食べ物であると思いますので、どうかより強火で、そして限りなく短時間で焼くように心がけてみてください。
うまく行けば意外なほどしっとりと、皮の薄い、それでいて香ばしい香りのするパンになります。
パンは香りが命です。
どうぞ覚えておいてくださいね。