やっぱり手作りパンが好き

ご家庭でのパン作りをとことん応援します。長年のベーカリー経験とパン教室経験にもとづく、超解りやすい解説を心がけています。

イースト菌の配合量の決め方 その1

 

 

イースト菌の配合量と使い方について

 

こんな質問をいただきました。

 

イーストの量はどのように決めたらよいのでしょう。 ドライイーストを使用する場合は生イーストの半量ということなのですが、これだと一次発酵に2時間ぐらいを要するので、すこし増やしています。 イーストの量を少量にして発酵促進剤を添加をせず、時間をかけた方がよりおいしいパンができるのでしょうか。 また予備発酵が必要なドライイーストとインスタントドライイーストでは使用量は違うのでしょうか。 サフの赤ラベルから金ラベルに変更する場合、使用量はどのように変更すればよいのでしょう。

 

皆さんが聞きたいであろう質問・・・ありがとうございます(*^_^*)

そう言えば、イーストの使用量に関しては具体的には書いていませんでしたね。

反省しています(~_~;)

では順を追って説明していきましょう。

まず、インスタントドライイーストと、ドライイーストと言う、ややごっちゃになるような名前のイーストがあります。

インスタントドライイーストが今では主流ですが、このイーストには無糖用と加糖用があります。

無糖用が赤ラベル、加糖用が金ラベルです。

 

 

こちらがおそらく日本で最も多く使われている日仏商事という会社で取り扱っているインスタントイーストで、メーカー名はサフでフランス産です。

詳しくはもっと種類があるのですが、この2つを覚えておけば問題ないと思います。

そして、似たような名前のドライイーストとは、正式名称を活性ドライイーストと言いまして、前処理が必要なドライイーストなのです。

そもそもは、この活性ドライイーストが主流だったのですが、この前処理が面倒であると言う事で、その後に開発されたのが現在主流のインスタントドライイーストなのです。

前処理の必要な活性ドライイーストは現在でも使用されていて、それを使う人のこだわりとはズバリ、香りが強いと言う所だと思います。

それに比べると、やや香りは控えめですが、何と言っても前処理の必要が無く、そのまま直接添加出来ると言う利便性からか、今では圧倒的にインスタントの方が使われているのです。

ちなみに前処理には15分必要で、その前処理をきちんと行わないと、イーストの活性がうまく働かない為、特に家庭では大変難しいものになっていました。

前処理の方法にもいくつかの方法があり、それも含めてパン屋さん独自のオリジナルになっていたのです。

どうしてイーストの香りが強い方がいいかと言いますと、そもそもこのドライイースト自体が、フランスパンの為にあるイーストだからなのです。

フランスパンには副材料が入りませんね。

そしてフランスパンの美味しさの秘密は何と言っても小麦の香りです。

その香りを引き立てる為に必要なのが、ドライイーストの香りだと言う訳なのです。

活性ドライイーストを家庭でお使いになる場合は、少し知識が必要となります。

ですから、あまりお勧めは出来ません(~_~;)

さて、話を現在主流のインスタントの方に移しましょう。

インスタントイーストは、今では全てのパンに使用してもらえるように、無糖用と加糖用の両方が用意されています。

それぞれの使用量は、レシピによっての違いや、改良剤や発酵促進剤の使用によっても大きく変わってきます。

ではまず、家庭では改良剤の類はあまり使用しない方が多いと思われますので、インスタントイーストだけを使用する場合の使用量について説明していきたいと思います。

ではこちらが家庭における本格的なフランスパンの基本レシピになります。

 

小麦粉・・・・・100%

塩・・・・・・・・・2%

サフ赤ラベル・・0.6%

砂糖・・・・・・・・1%

水・・・・・・・・65%

 

手捏ねなら通常のパンの3分の一程度のミキシング 機械なら低速で5から8分程度 捏ね上げ温度は絶対に24℃以下

温度27℃湿度65%程度の場所で120分発酵

その後パンチをして再び30分発酵させ、分割成形へと進む。

このレシピでインスタントイーストを金ラベルにする場合は、1%にします。

何故少し増やすのかと言いますと、金ラベルの発酵には砂糖がたくさん必要だからです。

しかし、このレシピではわずか1%。 ですから、砂糖の少ない配合では、金ラベルの方が使用量が少し増えるのです。

発酵時間が随分長いと苦情がきそうなレシピですよね(;一_一)

しかし、フランスパンと言うのは発酵による旨味しか美味しさのポイントがありません。

しっかりと時間をかけてこそ、本格的なフランスパンになるのです。

一般的な家庭用のレシピでは、美味しいフランスパンはあり得ません。

上記のレシピで、捏ね上げ温度を30℃にしただけで、発酵時間は半分で済みます。

た~だ~し~・・・美味しさも半分です(--〆)

イーストの量を1.5倍増やせば、同じく半分の時間で完成します。

た~だ~し~・・・イースト臭く、ふんわりとしたフランスパンらしからぬ、塩味ソフトパンになります。

インスタントイーストの赤ラベルは、低温でじっくり発酵させるパン用に作られています。

ですから、温度が28℃とか30℃とかの高温帯になると、目覚め過ぎてもの凄いパワーを出してしまいます。

結果、妙に良く膨らんだ色付きの悪いパンが完成するのです。

インスタントイーストの赤ラベルは、おもに砂糖の配合が5%までのパンに使用し、その使用量は1%までが基本だと憶えて下さい。

あくまでも捏ね過ぎない事、 それがコツです。

なので、本当は時間さえあればフランスパンは家庭で手捏ねするのに最適なパンと言えるのです。

と言う事で結論。

今回の質問にあるイースト量を減らして時間をかけた方が美味しいパンになるか? ・・・の答えは、フランスパンに限って言えば、その通りと言えます。

では、他のパンではどうなのでしょう?

また、砂糖の配合量の多いレシピでのイーストの使用量は・・・・ おっと少し長くなりましたので、続きは次回に・・・(@_@;)