やっぱり手作りパンが好き

ご家庭でのパン作りをとことん応援します。長年のベーカリー経験とパン教室経験にもとづく、超解りやすい解説を心がけています。

パン生地に何かを混ぜたいなら

 

黒砂糖とゴマを使ったパンが作りたいとの質問

 

こんな質問をいただきました。

 

どうせ作るのなら少しでも体に良いものをとの思いがあり、白砂糖の代わりに黒砂糖で作りたいのですが、その際に何か注意点はございますか?

スーパーなどで良く見かける安価な物と、ネットで探すととても高価な物がありますが、やはり高価な方を使った方が美味しくなるのでしょうか? 

また、作り方は変わってくるのでしょうか?

それと胡麻パンにも挑戦しようと思い、調べるとはじめから練り込むものと後から混ぜる場合と色々あって、どちらが良いのか解らずにいます。

黒砂糖は砂糖の仲間なのですから、最初から一緒に捏ねてよいのでしょうか?

やってみろと言われそうですが、何事も頭で理解しないと気が済まない性格なもので、お時間がある時で構いませんので・・・

 

そう言えば、混ぜ物に関する質問は今まであまり受けていませんでしたので、特に触れずにきたかもしれません。

これを機会に色々と考えてみたいと思います。

たくさんの混ぜ物がある中で、混ぜて行く際に注意しなければならない事は確かにあります。

それは、混ぜ物が硬い場合や、その形状によってはグルテンの形成を阻害してしまう恐れがあるからです。

また、乾燥していない、濡れている物などの場合、途中から入れると生地がベタベタしてしまって生地作りを妨害するでしょうから、初めから入れる以外にありませんね。

果肉があるレーズンやプルーンやイチジクなどは、その形状を残したいのか残さなくて良いのかによって入れるタイミングも製パン性も、または最終製品への影響も変わってきます。

つまり、どのようなものでも、どの段階で入れるかによって製パン性や最終製品の個性は大きく違ってくるのだと言う事を念頭におきながら、読み進んでいただきたいと思います。

とは言え、全てを書く事は出来ませんので、今回はご質問にある黒砂糖と胡麻について考えてみたいと思います。

まずは黒糖ですが、実に多くの種類がありますね。

そのまま食べるなら高価な物の方が当然美味しいのかもしれませんが、パンにする場合はあまり考えなくて良いと思いますし、パンに影響を与える成分的なものは、さほど違いはありません。

ただし、違いがあるとすれば安いものは混ぜ物が多い、つまり黒砂糖としての純度が低い事になりますので、完成品の色が高価な物は黒くなり風味が強く、安価な物は色が薄くなり風味がやや劣るでしょう。

しかし、気にするほどの違いはありませんので、スーパーの黒糖で大丈夫ですよ(~_~;)

黒糖は砂糖ですから、イーストの活動にも影響を与えますし、生地の形成にも大きく影響を与える為に、必ず初めから投入しなければなりません。

後から投入した方が良い理由は、黒糖に限っては全くないと言えます。

また、黒糖はゴツゴツした塊が特徴ですので、そのまま使うと最終的に粒が残ってしまう事があります。

ですから、お湯などで一度溶かしてから投入して下さい。

もちろんサラサラとしたものが手に入るならそのまま投入しても構いませんが、意外と粒が多いものがありますので、念のためお湯に溶かして使用することをオススメします。

例えば、食パンを作る時に砂糖を黒糖に置き換えようとした場合、最終製品にはさほどの違いは見つからないと思います。

なんとなくいつもと違う風味かな????程度でしょう。

もっと黒糖らしさを出したければ、最低でも15%以上は必要です。

15%以上配合すると、色もやや黒い黒糖パンらしいパンになりますし、甘くて風味豊かなパンになります。

生地の取り扱いその他は普通と変わりません。

・・・・・が、いつもよりも生地がプリンプリンするかもしれません。

ですので、柔らかめに仕上げるのがお勧めです。

なぜプリンプリンするのかは正確には解りませんが、恐らく成分中のカリウム・カルシウムのせいだと推測しています。

 

白砂糖 カリウム 2mg   カルシウム 1mg

黒糖  カリウム 1100mg カルシウム 240mg

 

次に胡麻ですが、胡麻の場合は形状がやや気になりますね。

先がとがっていますので、グルテンの形成を妨害すると考えられます。

さらに、初めから投入すると、胡麻の油分が染み出して生地がベトベトした感じになるでしょう。

ですので、油脂と一緒に入れる、つまり途中で入れる位が良いと思われます。

最後に入れるのはどうか言いますと、胡麻は細かい粒ですので分散するのに時間がかかります。

しっかりとグルテンが強化した所へグルテンを切ってしまう胡麻を投入すると言う事は、生地へのダメージが大きくなりますし、混ぜている最中に油分が染み出して生地がベタベタしてきますので、出来るだけ途中で入れる事をお勧めします。

とは言え、途中で入れてもグルテンへのダメージが無い訳ではありませんね。

ですのでこの場合は、出来るだけ強い粉を使う・生地は柔らかめにする・捏ね過ぎに注意するなどに気を付けて作って頂きたいと思います。

配合量は10%位が丁度良いと思います。

それよりも少ないと胡麻を感じませんし、多いと膨らみが悪くなります。

ちなみに10%でもいつものようには膨らみませんよ。

さらに分割や成形時の取り扱いが明暗を分けることになります。

膨らみの悪いパンにしたくない場合は、成形した後に生地を濡らし、胡麻を全体にまぶして発酵させれば、それも胡麻パンと言えますね。

あくまで好みの問題ですが、生地と一緒に練り込むだけが胡麻パンではありません。

そのままでも、すり潰してでも成形時に巻き込んでも胡麻パンですから、それこそ色々と試してみると楽しいと思いますよ。

 

こちらの記事も参考にしてみてください。

 

sizuasa.hatenablog.com