パン作りにある程度なれてくると、どうしても入れたくなりますよね~
野菜たち・・・
しかし、野菜を練り込んだらうまく膨らまなくなったとか、とても硬い目詰まりしたようなパンになってしまった・・・と言うご相談をよく受けます。
「それって野菜に含まれる酵素??とかの影響なのでしょうか」と言うご意見もよくいただくのですが、全くないわけではありませんが、それは恐らく酵素のせいではありません。
では一体なぜ膨らみが悪いパンになってしまうのでしょう??
その点について、考えてみたいと思います。
野菜はイースト菌の敵なのでは???
確かにそう言いたくなるほど、野菜類を練り込んだ場合のパンと言うのは膨らみが悪くなることもあるでしょう。
こともある・・・ということは、そうです、きちんと膨らむことももちろんある訳です。
ではまず、どの野菜を入れると膨らんで、どの野菜を入れたら膨らみが悪くなるのかを考えていきましょう。
ほうれん草、青梗菜、ズッキーニ、キャベツ、なすなどの葉物野菜というのは、どうしても水分が多いですよね。
それは炒め物などをしていてもわかることですが、出てくる水分とは対照的に、その存在感は恐ろしく少なくなっていきます。
「あんなに入れたのに、こんなに少なくなっちゃった!!」
と言うのがまさに葉物の特徴でしょう。
そんな葉物をパンに入れるということは、ある程度捏ねが完了したパン生地に水を足してさらに捏ねるようなものですから、当然ベタベタしますし、グルテンも破壊してしまいます。
どうしてもベタベタが取れないから・・・と言って、粉を足したりしていませんか?
すると、なおさら粉のだまができたりして、それはそれは最悪の状態になってしまうのです。
さらにです・・・
野菜と言うのはとても繊維質が多いですよね。
この繊維質というのがグルテン膜を破いてしまうのです。
ですので、もしもこれらの葉物野菜を入れたパンをふっくらとさせたいのであれば、ジューサーで完全に砕いて、はじめから水分として入れれば大丈夫なのです。
でも、どうしても葉物の存在感を残した状態でパンにしたいという時もありますよね。
そんな時は、まずはパン生地はいつもよりもしっかり捏ねて、強い生地を作ってください。
次にその生地を15分ほど休ませたら、生地をしっかりと台の上に広げて半面に野菜を敷き詰め、もう半面の生地をかぶせて野菜をサンドし、しっかりと体重をかけて手の平で押し込みます。
その後に三つに折りたたみ、さらに手の平を使って体重をかけるように押し込み、生地を広げていきます。
次にその状態でまたまた15分休ませ、またしても先ほどと同じように三つに折りたたんで押し込みます。
これでかなり混ざったはずです。
押し込む際に、生地が切れないように優しく、しかし強く押し込むことが大切です。
また、野菜の水気はキッチンペーパーでしっかりと取っておいてください。
ではブロッコリーやニンジンなどの固形野菜はどうでしょう
先ほどと基本的には同じ混ぜ方をしていきますが、ゴツゴツしたものを生地に混ぜ込んでいくときは、三つに畳むのではなくて、三つに切り分けて重ねていくようにしてください。
どんどん立体的になってしまいますので、初めに薄く広い状態にしてから切り分け、そして重ねていくようにしましょう。
お分かりだとは思いますが、あまり大きな塊は避けて下さいね。
少なくとも小さなサイコロ程度の大きさにしてから混ぜましょう。
秋野菜のガレットのレシピ 【ママパンWEB本店】小麦粉と優れた食材をそろえるお店
やや大きめの野菜をこんな風にしっかりと残したければ、こちらのサイトがとても参考になります。
また、ホームベーカリーを使って色々な野菜パンを紹介されているこちらのサイトも参考になりますよ。
ジュースにせずに初めから野菜を一緒に捏ねると、どうしても水分が徐々に出てきて、なかなか生地が完成しません。
ですので、ジュースにする以外はほぼ捏ね上がった生地に野菜を混ぜ込んでいくことになる訳ですが、その際にどんなに生地にダメージを与えないようにしたとしても、やはり少なからず発酵中に水は出ますし、野菜のごつごつした部分が発酵中にグルテンを破ってしまいますので、それでもふんわりと膨らんでくれるようにするためには、グルテンの強い粉を使って、しっかりと捏ねておくことがとても大切です。
グルテンの強い粉というのは、スーパーキングとか春よ恋などですね。
しかし、これらのグルテンの強い小麦粉で生地を作ると、しっかり捏ねたら捏ねたで、プリプリとした弾力があるのでなかなか生地が伸びてくれません。
ですので、ギリギリまで吸水を増やして、出来るだけ柔らかい生地にしておくことが大切です。
また、捏ね上げ温度も低めにしておいた方が良いでしょう。
さらに、野菜類を混ぜた生地というのは、どうしても元気100%と言う訳にはいきません。
ですので、食パンなどの型で焼く場合は、キレイな四角にはなりませんので、そこはあきらめて食パンにしたいのであればジュースにすることです。
野菜の存在感を生かしたパンしたい・・・
そんな時には、練り込むとか混ぜ込むということを考えるのではなく、やはりトッピングが一番効果的なのではないでしょうか。
そうすれば、野菜に味を付けて乗せることが出来ますし、大きさも関係なく乗せることが出来ますよね。
パン屋さんではこのパターンが多いのは、そう言う理由からなのです。
もう一つ紹介しておきますね。
野菜を食べるカレーパンのレシピ|製菓製パン材料販売なら日産商事へ
これはいわゆる焼きカレーパンを作って、その上に大きめの野菜を乗せています。
野菜だけだと単調な味になるところを、これなら野菜カレーとしてどちらも個性が生かされています。
ナイスアイデアだと思いました。
普通はカレーの中に野菜や肉を入れて作ったりしますので、そうなると包みづらくて形を整えるのも大変ですし、中身が飛び出したりすることもしばしばです。
野菜の色彩を味わうこともできませんよね。
しかしこのようにすれば、中身は何を包もうが、トッピングされた野菜の個性はそのままに、しかも口の中ではしっかりと合流してくれますので、とても良いアイデアだと思いました。
是非参考にさせていただきます。
ということで、ミックスベジタブルとかコーンなどはよく使われる混ぜ物野菜代表だと思いますが、それらが入っても大丈夫なくらいのしっかりとした生地を、まずは用意しないといけないのだということだけは覚えておいていただきたいと思います。