ハート型のいちごで~す。かわいいでしょ!
いちごはそのままでも十分美しいというのに、なんと可愛らしいのでしょうね・・・
といっても売り物にはなりませんけどね(涙)
今回はいちごの酵母を使ったパンをご紹介するのですが、そもそもいちごで酵母なんて贅沢ですよね。
しかも今回紹介するパンは水分がほぼいちごという、大変贅沢なパンのご紹介となります。
ただしです、今回はとあるイチゴ農家さんからの依頼で開発した商品ですので、多少のアレンジを加えてあること、そして工程画像は公開しないことが条件となりますので、生地作成のあとは、皆様それぞれでアレンジして成形などを行っていただきたいと思います。
食パンにしてもバターロール風に焼いても、コッペパンにしても、たっぷりいちごが感じられるパンになりますので、もはや時期は終わりましたが、今年の冬はまたすぐにやってきますので、ぜひ一度お試しくださいね。
ではまず配合から
<ベーカーズパーセント>
いちご酵母
いちご 60%
インスタントイースト 0.25%(サフ金印)
強力粉 0.6%
生地配合
強力粉 100%
上白糖 20%
塩 1.5%
ショートニング 10%
いちご酵母 全量
水 5%
ベーカーズパーセントは、%の部分をグラムに変えれば、小麦粉の量が丁度100gになります。
小麦粉の量が100gの時の総合計量が197gになりますので、この何倍作りたいかで小麦粉の量を2倍・3倍と増やしていき、他の材料もそれに合わせて2倍・3倍と増やしていけばよいのです。
わざわざベーカーズパーセントで書いたのは、けして意地悪なのではなく、小麦粉の量を100として他の材料のバランスを見るというベーカーズパーセントの考え方を知ってほしいからなのです。
日頃からブログを読まれている方なら「そんな説明はもういらん!」と言われそうですが、まだまだおわかりにならない人もいますので、しつこいようですが・・・
ではまずいちご酵母づくりから・・・
通常これらのフルーツなどを使った酵母種というのは、それぞれのフルーツにほんのり甘みを入れて水を入れて一週間ほど放置するという手法が取られることが多いはずです。
画像のようにフルーツを潰さない方が一般的には良いとされています。
しかし、出来上がった酵母の保管とか、はたまた種継ぎは必要なのか??というようなわずらわしさ、そしてなによりも「なんとなくハードルが高い」と思っていらっしゃる方も多いでしょう。
毎回毎回作っていますという方ならいざしらず、たまにしか作らない人だと酵母の管理はとても窮屈だし、雑菌の繁殖もないわけではありません。
ということで今回は、一回使いっきりの酵母として作成するものになります。
とても簡単ですので、ぜひお試しくださいね。
まずはいちごですが、軽く水ですすいで茶碗などに入れ、手で潰します。
※特別な入れ物を用意する必要はありません。
荒く潰しておけば十分で、そのいちごを茶碗ごとラップをしてレンジで30℃位になるまで温めます。
常温に置いてあったいちごならすぐに30℃になるでしょうし、冷蔵庫に入っていたものならやや時間がかかると思います。
また、たくさんもらったりして冷凍してあったものでも、全く問題なく使えますので、その際はまずは凍ったいちごを分量だけ茶碗に入れて温め、途中溶けてきたら潰して再びレンジへ入れ、30℃まで温めてください。
※もし温めすぎてしまったら、30℃になるまで冷ましてください。
いちごが30℃になったらイーストをふりかけて、しんなりするまで数分待ちます。
次に小麦粉をふりかけて、ホイッパでしっかりと混ぜていきます。
粉が残っていないくらいしっかりと混ざっていればOKです。
茶碗にラップをしないでレンジに入れ、となりに熱いお湯を入れた茶碗を一緒に入れて蓋をしめ、約1時間発酵させます。
※発酵機能があるレンジならそちらを使われても構いません。
室温が約30℃になるようにしてください。
約1時間でかなり発泡してきますので、しっかりとホイッパで混ぜ合わせて、今度はしっかりラップをしてから冷蔵庫で保管します。
お休みの前に一回混ぜ混ぜし、翌朝にも一回混ぜ混ぜします。
その日のお休み前にも混ぜ混ぜし、いよいよ翌日パンを作ります。
つまり、本日の昼頃いちご酵母を作ったら、翌日は発酵日となり、翌々日にパンに使うという形になります。
酵母をつくって、翌日すぐにパンにすることもできますが、やや熟成にかけますので一日は最低でも置いたほうが間違いなく美味しいパンになります。
また逆に、発酵に二日以上置いた場合は発酵力が徐々に落ちてきますので、酵母を作ったら3日以内に使用することをおすすめします。
生地作り
ボールに小麦粉・砂糖・塩・水・いちご酵母を入れてよく混ぜ合わせ、粉っぽさがなくなったら台の上に移して捏ねていきます。
使用する小麦粉によって、またはいちごの水分によって硬さが大きく違って来ると思われますので、はじめは水無しで行ってみて、硬ければ徐々に水を入れていくようにしましょう。
私の場合はいつもあまり捏ねないのですが、今回のように砂糖が多くしっとりとしたパンを作りたい場合は、ある程度一生懸命捏ねていく方が良いでしょう。
今回はショートニングの量も多いため、かなり一生懸命捏ねておいたほうがよく膨らむパンになります。
通常の天然酵母パンのような重い感じではなく、普通にしっとりやわらかいパンにしたいので、頑張って捏ねてください(笑)
途中でショートニングを加えて混ぜたら、その後はあまり捏ねなくても大丈夫です。
ショートニングがしっかりと混ざったら、そこで終了していつものようにパンチで生地を作っていきます。
生地の温度は28℃くらいを目指してください。
発酵工程
捏ね上がった生地はそのまま捏ねていたボールなどに入れたまま、約30分ほど室温で発酵させます。
(冬場は必ず温かい場所、あるいは発酵室などに入れましょう)
パンチ① 30分後にボールから取り出し、ややきつめに何度か丸め直します。
この時点からボールに残った生地はきれいに取り除いておいて、そこへ丸めた生地を入れて再び30分発酵させます。
これで60分の発酵となります。
パンチ② 30分発酵させた後にボールから取り出した生地を再びきつめに丸め直し、またボールへ戻します。
これでパンチが2回、行われたことになります。
当然お分かりのこととは思いますが、生地の表面はなるべくきれいになるようにして入れて下さいね。
そして最後の30分発酵をとり、合計90分の発酵となります。
もし捏ね上げ温度が低くなったり、うっかり水を入れすぎて柔らかすぎる生地になってしまったら、膨らみが弱いかもしれません。
そんな時には発酵時間を追加して、膨らみをしっかりと確認するか、あまりに膨らみが弱かったら更に一回丸め直しを行ってみてください。
いちご酵母パンといっても、要するに作り方は普通のパンと同じです。
捏ねが弱ければ膨らみの悪いパンになり、しっかりと捏ねられていればふんわりしっとりとしたパンになります。
内層がやや赤黒くはなりますが、そもそもいちごの赤は表面だけなので、いくらいちごをたくさん入れてもピンク色とまではなりません。
しかしこれだけ多くのいちごを水分として入れることによって、間違いなくいちごをしっかりと感じるパンになります。
表面の見た目も普通ですが、いちごの味と風味は抜群です。
通常のいちごで作る天然酵母などで作ったパンとは比較にならないくらいいちごを感じることができます。
そもそも今回依頼のあったイチゴ農家さんでは、売り物のいちごの他に形が悪いなどの理由で売れないいちごがあり、それらは通常ジャムなどの加工品として使われるそうなのですが、それでも使い切れないくらい収穫できてしまう時期があるようで、すでに冷凍庫がいちごで満タンになっていたらしいのです。
ですから、できるだけ多くいちごを使った商品の開発を・・・というなんとも私達からしたら贅沢なお悩みだったのですが、見事に美味しいパンに変身することができたわけです。
そして今回分ったことなのですが、多くのイチゴ農家さんでは処理に困ったいちごが多数あるようで、それらは毎回廃棄されるようなのです。
ですので皆様、お近くのイチゴ農家に行った際には、「売り物にならないようないちごがあったらパンにしたいので分けてくれませんか!!」とお願いすればきっと分けてくれると思いますよ。
そして完成したパンを持っていけば、喜んでまたくれると思うのですが・・・あとは皆様のアタック次第ということで・・・