やっぱり手作りパンが好き

ご家庭でのパン作りをとことん応援します。長年のベーカリー経験とパン教室経験にもとづく、超解りやすい解説を心がけています。

パン作り ここを押さえれば失敗しない ポイント&アドバイス 1

 

発酵時間について

 

パンの発酵時間は、砂糖・塩・イーストなどの量によって大きく変わって きますので、一概にこのパンは何分ということは言えませんので、 レシピに従うしかありません。

しかし一般的に初心者はレシピよりも大幅に時間をオーバーしてしまうもの です。

最終発酵時(焼成前)にはすでに酵母が力尽き、生地も乾燥気味になってい る事が多く見受けられます。

イーストは、生地の捏ね上がりから焼成するまでのトータル時間にちょうど 良く発酵を終えるように配合されています。

ですから、成形等が不慣れで手間取ってしまうとその分の時間がオーバーし てしまい、焼成前に力尽きてしまう事になるのです。 

パンを作る際は、レシピによって決められた終了時間を守るべく、 成形に手間取った場合はその分の時間を発酵時間から差し引いて、 トータル時間を守る事が大切なのです。

とは言え、生地の発酵時間というものを決定づけるのは捏ね上げ温度になります。

つまり、発酵時間が何分というようにレシピに書かれていたとしても、それはあくまで捏ね上げたときの生地の温度が適温の場合のみの話であり、温度が高い場合と低い場合とではその後の対応が大きく変わってくるのです。

 

捏ね上げ温度の違いによる対応に関してはこちらの記事を参考にしてください。

 

sizuasa.hatenablog.com

 

ではそれぞれのポイントについて説明していきましょう。

 

 ポイント1  ホイロ(最終醗酵室)の温度・湿度について

 

リッチなパンは温度35℃湿度75%・リーンなパンは温度28℃湿度70% が一般的です。

リッチなパンとはフランスパンなどの副材料が入らないパンを除く全てのパン の事で、リーンなパンとはフランスパンやドイツパンなどの事です。

発酵時間は生地の大きさや成形にもよりますが、アンパン類で60分、 フランスパンで45分程度が一般的です。

大切なのはどちらの生地も発酵終了後に生地の表面がしっとりしている事です。

表面が乾燥していれば温度が高いか湿度が足りていません。

逆に表面が濡れていれば湿度が高すぎます。

最終発酵を良い状態で終える事が美しいパンを作る為の条件となります。

 

ポイント2 ベンチタイム 

 

パン生地を捏ねた後の保管、及びベンチタイムには、温度が26℃~28℃・湿度が70%が適正です。

この温度帯はちょうど6月中旬頃のじめじめしていてとても過ごしにくい入梅 時の温湿度です。

人間にはいやな季節ですが、パンにとっては適度な湿気がとても大切なのです。

パン生地がゆっくりと膨らんでいく時に、表面が乾燥していてはパン生地が伸 びることができなくなってしまうからです。

常に適度な湿気の中で生地を保存する事が、発酵管理を決定づけるのです。

6月から9月までの間なら、捏ね上がったパン生地は室温でタッパーなどに入 れておけば良いのですが、寒い時期は暖かく適度な湿気のある環境を作りださ なければなりません。

そう考えるとご家庭でのパン作りは夏場の方が向いていると言えそうです。

ただし、エアコンがギンギンに効いているような部屋では発酵室での発酵が必要なことはお解りいただけると思います。

 

ポイント3  発酵をとる入れ物にも要注意  

 

パン生地を入れる入れ物にはビニール製のものが向いています。

ステンレスなどだと、生地が冷えやすくなります。

また、木製だとひっつき やすく、布製だと乾燥します。

一般に売られているビニール製のタッパーが蓋がついていて便利で、温度を 伝えにくいので、生地が冷えたりせずに安定した発酵が行われますのでオススメです。

捏ね上がり温度が目標より高かった場合は、生地をタッパーに入れたまま 冷蔵庫に入れ、適正温度まで冷やす事が出来ます。

また、逆に低すぎた場合はタッパーごと暖かい場所に置いて温度を上げること が出来ます。

タッパーにはサラダ油かバターを薄く塗って生地を入れると良いでしょう。

生地を入れ物に入れる際には、表面をきれいに丸めて入れるようにしましょう。

 

ポイント4 パン生地発酵の最大の敵・温度変化に要注意  

 

何度もふれますが、パン生地発酵にとって温度・湿度を保つ事はとても重要 です。

それはどのような場面でも注意しなければならず、例えばいかに発酵中は 温度を保っていたとしても成形する部屋が非常に寒かったり、乾燥していた りしてはパン生地が温度変化を感知し、酵母の働きがにぶってしまうのです。

パン生地が捏ね上がってからオーブンに入れるまでの間、決して温度・湿度 を変化させない事が何よりも大切かつ最大のポイントなのです。

 

計量・配合について

 

どんな食べ物を作る場合でも、その調合や材料の計量を正確に行わなければ、 毎回違った味のものが出来上がってしまいます。

パンにおいてもそれは同じですが、パンの場合は特に以下のポイントを しっかり守ってください。

 

ポイント1  塩とイーストの計量は正確に

 

塩とイーストだけは必ず正確に計ってください。

塩は全てのパンにおいて味の根本となりイーストは焼き上がり後の風味や ソフト感に大きく影響します。 

この二つだけは、小さじで何杯というような アバウトな計量を行うと失敗の原因となります。

 

ポイント2  その他の材料はアバウトでもOK

 

砂糖、バター、卵などの副材料は、多少アバウトでも問題ありません。

なぜなら、砂糖が多く入れば少し甘味が増し、バターや卵が多く入れば より美味しくなるという理屈です。

ただし、砂糖と塩とは絶妙なコンビネーションをたもっていますので、 砂糖が多くなれば塩を少し減らし、砂糖が少なければ塩を少し増やさなけれ ばきちんとした味が出てきません。

おしるこを作る際、少しの塩は甘味を引き立ててくれますが、もし塩を入れ すぎればとんでもない味のおしるこになるのと同じ理屈です。

 

ポイント3  水分の適正量をつかみましょう

 

パン作りでは水分の適正が良否を決定付けます。

完成品を考えれば水分をな るべく多くして、しっとりとしたパンを作りたいところですが、多くのレシ ピの水分はやや固めに出来ています。

これは素人でも生地がべとつかずにうまく作れるように配慮したものですが、 パンにとっては逆効果で、硬い生地では成形等の作業で生地が傷みやすく、 釜伸びの悪い硬くしまったパンになりがちです。

むしろ柔らかめの生地にしておいたほうがダメージを受けにくく、完成度の 高いパンが出来上がります。 

レシピにある水分量は何が何でも守らなければならないものではありません。

パン作りに一番必要なものはバランスですから、あまり硬く考えないこと です。

ちなみに総合的に考えてパン生地の成形段階での柔らかさの基準は、 自分の耳たぶ位です。

いつも耳たぶをさわって感触を覚えておきましょう。

また、小麦粉を100とした場合、適正トータル水分量は65から70位 です。

トータルというのは卵も加糖練乳も牛乳も生クリームも、すべてに含まれる 水分の合計という事です。

水を牛乳に置き換えてミルクパンなどを作る場合などは、牛乳には固形分が 含まれている為、小麦粉100に対して70から 73程度必要となります。

また、砂糖が多い配合などの場合は特にそうなのですが、初めのうちは丁度よい硬さかなと思っていても、捏ねていくうちにどんどん柔らかくなりすぎて・・・となることがあります。

砂糖と油脂が多い配合のときには、水は初めにすべて投入せずに、様子を見ながら足していくようにすると良いでしょう。

  

ポイント4  イーストやスキムミルクの取り扱いに注意しましょう。

 

イーストは砂糖に触れると発酵を開始してしまいます。

また、塩に触れると 菌が弱まってしまいます。

イーストはとてもデリケートなので、必ず単独で計量を行い、ミキシング直前までは他の材料に 触れないようにしましょう。

計量した材料をボールなどに入れる際にも、イーストは小麦粉に振りかけるようにして入れ、よく混ぜてから他の材料を入れるようにしましょう。

スキムミルクはとても水分の少ない微粉末ですので、必ず小麦粉に混ぜてから他の材料を入れるようにしましょう。

小麦粉以外のものに触れ ると、たちまち水分を吸収して塊が出来てしまいますので。 

このように、計量時は、それぞれの材料を別々の入れ物で計るのがベスト ですが、粉物は粉物同士、水物は水物同士で触れ合うなら問題ありません。

計量というのはすべての始まりですから、必ず何度も確認をしながら行う習慣を身につけましょう。