ホームベーキングでは、作るのはとても難しいと言われているクロワッサン生地ですが、果たして本当に難しいのでしょうか?
また、難しいとしたら何が難しいのでしょうか?
クロワッサンの色々な画像から、そのあたりについて解説していきたいと思います。
レシピとしてはこんな感じです。
(ベーカーズパーセント) (約10個分)
・リスドォル・・・・・・・・・・・100% 250g
・砂糖・・・・・・・・・・・・・・・・8% 20g
・塩・・・・・・・・・・・・・・・・・2% 5g
・牛乳・・・・・・・・・・・・・・・52% 130g
・溶き卵・・・・・・・・・・・・・・12% 30g
・インスタントドライイースト・・・1.2% 3g
・バター(食塩不使用)・・・・・・・・4% 10g
・折り込み用バター食塩不使用)・・・48% 120g
合計 568g
レシピや作り方というのはネット上にあふれていますので、ここでは細かい作り方に関しては触れません。
レシピの好みや成形、そして味やサクサク感などは人それぞれ好みが分かれるとは思いますが、皆様は作ったことがあるでしょうか?
ご家庭ではまだ作ったことがない・・・と言う方の方が多いとは思いますが、何度か作ってコツさえつかんでしまえば非常に簡単(あくまで慣れればの話ですが・・・)だと言えなくもないクロワッサン、是非チャレンジしてほしいパンです。
なぜなら、通常のパン作りの技術とは全く違うので、いつもあまりうまくいかなかったとしても、意外とクロワッサンはうまくいく場合がるからです。
まずは上記のレシピをよ~く見てください。
何か特別な感じ??・・・はしませんよね。
折り込み用のバターを除けば、いたってシンプルなレシピだと思います。
ではまず、レシピの中身に関して細かく見ていきましょう。
意外とシンプルなクロワッサンのレシピ・・・
クロワッサンにフワフワを求める方・・・う~ん、ゼロではないかもしれませんが、やっぱりクロワッサンと言えばパリパリですよね。
せっかくご家庭でつくるのですから、買ってきたものよりもより一層パリパリを味わいたいものです。
そこで登場するのがリスドォル、つまりフランスパン専用粉と呼ばれる小麦粉です。
フランスパン専用粉というのは、強力粉に比べて力がやや弱く、焼いたときに歯切れのよい生地になります。
力が強い、つまり弾力のある強力粉でクロワッサンを作るとすると、なかなか伸ばすことが出来ないのに対して、フランスパン専用粉だと伸ばしやすくなります。
また、引きのある伸びの良い生地ではなく、サクッと歯触りの良い生地になるのもフランスパン専用粉の特徴ですので、リスドォルでなくても、他社製品で構いませんのでフランスパン専用粉をお使いいただくと良いと思います。
< リスドォル>
蛋白10.7±0.5% 灰分0.45±0.03% 本場フランスの風味を追求したフランスパン専用粉です。
水を使わずに牛乳だけになっていますが、その理由の一番は美味しくなるからです。そして二番目の理由はイースト臭やその他の余分な香りを抑え、ミルクフレーバーを与えたいからです。
クロワッサン生地の特徴は、
- あまり捏ねない
- あまり発酵時間をとらない
という、ちょっと普通のパンとは違った作り方をする必要があります。
なぜなら、折り込みの作業自体がミキシングに相当するので、そもそもあまり捏ねてしまうと生地切れを起こしやすくなってしまうこと。
さらに、良く捏ねて弾力を出してしまっては、伸ばしずらくなってしまうからです。
発酵時間を短めにするのも同じことで、生地に風船がたくさん出来て、すっかり弾力のある生地になってしまうと、折り込みがとても大変になりますし、生地に負担がかかってしまいます。
ですので、さっと捏ねた生地を少しだけ休ませた後(20~30分)すぐに冷蔵庫へ入れて冷やすことになりますので、生地的に言えばイーストは発酵不十分であり、粉臭さのようなものも若干残るのです。
牛乳を配合することで、それらの余分な香りを抑え、ミルクフレーバーとバターの香りが引き立つようにとの狙いがあるのです。
その他の特徴としては、生地はやや硬めにしてください。
小麦粉によって水分量はかなり変わってきますが、いずれにしてもこれじゃ硬いかな??位が丁度良いでしょう。
他のパンではほとんどのレシピで多めの水分量を推奨していますが、クロワッサン・デニッシュの場合は、バターを薄く延ばしていくという工程が入りますので、その際に水が多くて柔らかい生地だと、バターがきれいに伸びずに肌荒れの原因となります。
レシピでは、生地に練り込む油脂も折り込む油脂もバターと書いてありますが、ここはお好みの油脂でかまいません。
バターは美味しさは最高ですが、とても難しくなります。
なぜなら、伸ばしにくく溶けやすいからです。
それに何よりも高い!!
味と使いやすさを両立したければ、コンパウンドマーガリンという、バターが何割か配合されたいわゆるちょっと贅沢なマーガリンを使っていただくか、マーガリンの中でもやや高級なものを使っていただくととても折り込みやすくなります。
一番重要な判断基準と言うのは、香りですけどね。
マーガリンの美味しさ、そして特徴はなんと言ってもそのフレーバーにあります。
色々と使ってみて、ご自分の好みを見つけてください。
<安い割にはかなり美味しいおススメマーガリン>
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ただし、送料がバカバカしいので、多めに買って冷凍保存しておくか、近くに製菓材料店があればそちらで聞いてみて下さい。
また、ネットでは種類も少ないうえに送料がバカバカしいので、お近くに製菓製パンの問屋さんがあれば、意外とお安く、しかもパン屋さんが使っているいろいろな種類がありますので、一度行ってみることをお勧めします。
※電話だとあしらわれますので、直接行ってみて下さい。
小麦粉もかなり安く売ってくれる場合がありますよ。
良く作る人なら、25kgの業務用をお勧めします。
※また、私がいつも使っているのはサンミールさんの「手打屋さん」という粉です。 クロワッサンやフランスパンにはおススメです。
では次に、作り方について見ていきましょう。
いつものパンとは違うクロワッサンの工程
クロワッサン生地は、さっと捏ねて20~30分休ませた後、タッパーなどに入れて一晩冷蔵します。
インスタントイーストを使っていますので、捏ね上げの温度は24℃位が理想ですが、そんなにシビアに管理しなくても大丈夫です。
通常の冷蔵法の場合では、タッパーの中でおしくらまんじゅうしてくれることによって摩擦が起き、低温発酵しながらゆっくり自然と捏ねられていくことを狙っているのですが、クロワッサンの場合はそうではありませんので、生地量の2倍以上のゆったりと入れられるものがおススメです。
あまり立体になるよりも、横に広めに入るようなタッパーがあると良いでしょう。
翌日に良く冷えてガスを含んだ生地を、一度作業台に移し、しっかりガスを抜いて天板にビニールを敷いて生地を乗せ、しっかりビニールでくるんでから冷凍庫へ移します。
その間に折り込みのバターを準備するわけですが、捏ねた生地の量と配合する油脂の量によって違いはあるものの、ある程度冷たいうちに叩いて柔らかくしておき、また冷蔵庫で休ませます。
パン生地がある程度冷凍庫で冷えたら、こちらの画像のように平たく延ばした油脂を生地で包む感じにしていき、これを三つに折れるくらいの長さまで伸ばしていきます。
生地と油脂の厚みがそれぞれ揃っていること、生地と油脂の硬さが同じくらいになっていること、この二点がとても重要なポイントとなります。
また、適度に粉を振りながら、絶対にべたべたにならないようにすること、同じ場所にばかり麺棒をかけずに、何度か裏返しながら上も下も同じような力加減で伸ばしていくこと、ここが最大の難関となります。
初めの段階では油脂も生地も良く冷えていますし、生地にもコシがないので良く伸びます。
ここでしっかりと均一にのばして、そしてやや薄くて幅広い三つ折りを行っておくことが一つのコツになります。
しっかり伸ばさずに三つ折りをしてしまうと、高さがでてしまい、次に伸ばす時が大変だからです。
しかも、厚みがあると冷えずらいので、次の作業までになかなか生地が冷えずに非常に時間がかかります。
良~く伸ばして幅広い三つ折りにすることがここではとても重要です。 また冷やす前に一度麺棒を当てて、生地どうしをしっかり密着させましょう。
ここまでで、生地がべた付いたりせず、生地と油脂の厚みがある程度揃っている伸ばし方ができたかどうかで、クロワッサンの良し悪しはほぼ決まってしまいます。
何度かやったことがある人ならわかると思いますが、ここでは手粉を使いすぎてもだめですし、少ないと生地が台や麺棒にくっついてもう大変です。
いかに少ない手間と時間でこの作業を終えることが出来るかがポイントですから、やはり慣れる以外には手はないと言えるでしょうね。
そして今度は生地を冷凍庫へ入れて良く冷やしながら、同じ工程をあと2回行いますが、初めに奇麗に出来ていれば、後は意外と簡単です。
冷凍庫の中で角がこちこちにならないように、注意しながら冷やしてください。
冷蔵庫で・・・というレシピもありますが、冷蔵庫だと意外と油脂だけが硬くなる割には生地は柔らかいことが多く、ここで生地と油脂の硬さがアンバランスになることで層が奇麗に出てくれないことに繋がりますので、冷凍庫へ入れて、そして時間で管理するのではなく、チョイチョイ冷え具合を確認しながら、全体が良く冷えるように工夫しましょう。
濡れタオルを上からかぶせておくと早めに冷えますよ。
もし角がこちこちになってしまったら、冷蔵庫へ入れて少し様子を見ましょう。
間違ってもかちかちのまま伸ばそうとしないでくださいね。
とまあそんな感じで三つ折りを終えましたら、さらに良く冷やして今度はいよいよ最終的な厚さまで伸ばしていくのですが、その時に一度に行うことはやめた方が良いと思います。
少し伸ばしたらまた冷やしてと言う具合に、休み休み行うことが非常に大切なのです。 面倒ですけどね(笑)
どこまで伸ばすかは成形手法によりますが、とりあえず1センチより薄い状態まで伸ばしておけば大丈夫でしょう。
成形する前にも一旦休ませてからの方が奇麗にいきます。
そしていよいよ三角などにカットして
こんな感じで緩めに巻いていく方が家庭ではうまくいきます。
画像のように、手前に少し包丁を入れて、横に広げるように巻いていくと長さが出ます。
これでも悪くはないのですが、厚すぎる場所と端っこの火通りが違ってしまい、端は焦げて真ん中は火の通りが悪いなんてことになりかねませんよね。
またこのように引っ張りながら巻き数を作ろうとする人がいますが、そうするとせっかくの層が崩れてしまったり、生地にストレスがかかり過ぎて暴れてしまうことがあります。
解りやすく言うとこんな感じですね。
中が空洞になりやすく、風味が少し悪くなったります。
イーストが多すぎるレシピや、粉が強すぎる場合、良く捏ねてしまった場合、捏ね上げ温度が極端に高かった場合(28℃以上)、冷蔵庫で膨らみすぎてしまった場合などでもこのような感じになります。
ただし、何も悪いわけではありませんよ。
非常に元気でボリュームもあり、こんな感じが好きだという方も多いはずです。
ようはご自分の好み通りに出来たかどうかですよね。
どうか皆さんもクロワッサン作りに是非挑戦してみて下さいね。
次回は焼くまでのポイントなどを説明していきたいと思います。