ご家庭での折込生地について
色々質問をいただくなかで、家庭で折り込み生地を作られている方が意外に多いのに驚きます。
それは、クロワッサンしかり、デニッシュしかりです。
また、今ではレシピも多数ネット上で公開されている事もあり、小麦粉を色々変えたり、原材料をあれこれ変えてみたり、バターの種類や折り込み量を変えてみたりと、いろいろ試されている方も多いのではないでしょうか?
何度か作ってみて、たまたま???というか、一般的なレシピに出会えた方は、それなりのものが完成しますので、徐々に変化を加えて行く楽しみを味わっていらっしゃると思います。
しかし残念ながら、はじめからやや特殊??なレシピを見つけてしまった方は、かなりの悪戦苦闘をするはめになっているようです。
何事もまず基本から入り、ある程度馴れてきてコツがつかめてきてからアレンジするのは良いのですが、いきなり専門的な物に手を出すと、たちまちどつぼにはまってしまいます。
専門的なレシピほど、細かい作り方は書かれていなかったりしますので、ここでほぼ失敗する事になるのです。
ではなぜ、専門的なレシピには、丁寧な説明が少ないのでしょうか????
それは、作成者側がある程度の熟練者に向けて発信しているからですね。
つまり、基本的な事は解っているであろう方々に向けて情報を開示している訳です。
しかし見ている方はそうは思っていません。
しめしめ、あの有名店の味を家庭で作れるレシピを発見したぞ・・・とばかりにおおはしゃぎ。
しかし結果は泥沼・・・・・
そもそも、パンや菓子のレシピと言うのは原材料の配合割合を中心に説明されている事が多いと思います。
そして、基本的な作り方を画像で紹介していらっしゃる親切なサイトもたくさんあるとは思いますが、やはりそれもその製作者様から見た視点で、これ位は知っているであろう・・・という部分には触れずに書かれている事が多いと思うのです。
なぜなら、いちいち全てを作り方の細部にわたって書いていたら、とんでもなく面倒であり、なんとも見ずらいレシピになるからです。
ここまでは公開しますから、後はご自分で努力して試行錯誤してくださいね・・・・と言う事ですね。
「と言うか、正直そこまで気が回っているかどうかという気もしますが・・・」
私自身、書店や図書館に行った際には必ずレシピ本をチェックします。しかし最終的にはとても頭が痛くなり、しかも色々と混乱してとても嫌な気分になります。それはなぜかと言いますと、結局「自分自分」が優先していること、そして「満足しているのはご自分だけでは」と感じてしまうこと、単なる自慢ばかりで、実際にそれを見て作る人に気持ちが言っていないことが多いと感じてしまうからです。
今更ですが、パンでも料理でも、作り方は教室などに行ってご自分の目でしっかりと先生のやり方を見たものに関しては、それなりに今後も役立って行くと思います。
しかし、レシピを本やネットで調べて自分で作った物に関しては、はたしてこれで良かったのであろうか???? と言う疑問がいつまでも付きまとう事になると思うのです。
ですから、何事もまずは基本的なレベルまでは、きちんと講師に教わる事が大切だと思いますし、作り方の熟練度と、あまたあるレシピの大群は相互関係にありますので、自分の技量に合ったものを選べるかどうかがポイントなのではないでしょうか。
そう言う意味では、何事もチャレンジですから、別に難しい事に手を出すなと言っている訳ではないのですよ(~_~;)
ただ、少なくとも、これから作ろうとしている物の難易度位は理解しておかないと、どこまでいっても上手く作るどころか、失敗の根本原因が解らない事による負のスパイラルにはまってしまうでしょうから、要注意ですよね。
そこで今回は、家庭で折り込み生地を作る場合に、特に注意しなければならない事を紹介しておきたいと思います。
ですが、誤解のないように言っておきますが、折り込み生地はとても技術がいります。
いくら頭で解っても、そう簡単に作れるようになると言うものではありませんので、誤解のないようにお願いいたします。
クロワッサンの生地づくりポイント
まずは配合ですが、小麦粉はごく一般的な物を使う事をお勧めします。
専門的な小麦粉や、国内産小麦の場合は、失敗する比率がとても高くなります。
他のカテゴリでたくさん触れていますので、ここでは細かくは書きませんが、要するに風船の数と質が違うからです。
また、多くの種類をブレンドしたがる人が多いのですが、それはかなり高度な専門知識が必要ですので、特徴を掴む意味でも単品で行うことが望ましいと思います。
折り込み生地と言うのは、何度も何度も薄く伸ばす為に、ミキシングは控えなくてはなりません。
あくまで一般的な話ですよ。
と言う事は、短時間でしっかりと風船が作れる外国産小麦でないと、膨らみがとても悪くなるからです。
また、一般的と書きましたが、家庭で折り込み生地を作る場合は、あくまで少量ですよね。
と言う事は、この一般的という表現にあてはまりません。
ですので、ある程度捏ねて、しっかりとした生地を作る事をお勧めします。
サクッとした食感が売りのクロワッサンと言うのは、特にあまり生地を捏ねるとふかふかになり過ぎて、クロワッサンぽくならないということで、あまり捏ねないレシピが多いかもしれません。
しかし、家庭においては、通常のパン生地・・・・つまりしっかりと膨らむ普通のパン生地を作る事が大切なのです。
なぜかと言いますと、それはほとんどの方が膨らんでいないパン生地にバターを折り込んだ結果として、その後に最終発酵時点あるいはオーブンの中でバターが流れ出てしまうからなのです。
ちょっと考えてみて下さい・・・・・
そもそもオーブンの中は高熱ですよね。
そこにバターが入っている生地を入れるのですから、流れ出さないはずがない・・・・
しかし実際には流れてこない・・・・
クロワッサンに折り込まれたバターが流れ出してこないのは、膨らんだパン生地に適度に吸われているからなのです。
つまり、パン生地が膨らんでいないと、バターは生地に浸透する事が出来ずに流れ出してしまうと言う訳です。
家庭でのパン作りでは、そのほとんどが実はミキシングが不足している事が多いのです。
それなのに、折り込み生地は尚更捏ねないようにしている訳ですから、更に不足になります。
そこに来て、小麦粉が膨らみの悪い小麦粉を使えば尚更ですね。
と言う事で、まずはいつも作っているバターロールのような生地や、菓子パンなどの生地でも良し、あるいは食パン生地でも構いません。
その生地重量に対して、三分の一の量のバターを折り込んで作ってみて下さい。
そこがまず基本となります。
また、注意しなければならないのは、生地が良く膨らむレシピかどうかという部分です。
つまり、イーストの種類と量の問題です。
家庭では作ってすぐに食べるでしょうし、生地を冷凍保存することもあまりないですよね。
と言う事は、一般的なパンのレシピとほぼ同じ量で問題はありません。
特に増やしたり、特別なイーストや改良剤の類を入れないと出来ないというようなことはありません。
例えば今日バターロールを作ったとします。
第一発酵を終えた生地を、しっかりガスを抜いて薄く伸ばし、ラップにくるむなどしてトレーにのせ、一度冷凍庫で冷やします。
カチンカチンにする必要はありません。
あくまで冷えれば良いのです。
そして20~30分も冷凍したら、生地が冷えて折り込める状態になっていると思いますので、そこで折り込みます。
この時端っこがカチカチになっているようでは冷凍し過ぎです。
冷凍庫と冷蔵庫を使い分けながら、全体が冷えるように工夫して下さい。
そしてなるべくその日のうちに、成形して焼いて下さい。
これを一晩冷凍したり冷蔵したりすることで、とたんにややこしくなってくるのです。
膨らみが悪くなったり、バターが流れ出たりすることになります。
このあたりは、生地の状態とバターの折り込み技術と、冷凍庫の冷え具合などによって、様々違ってくるのです。
ですから、まずはすべてを当日中に行う事をお勧めいたします。
家庭で作る量でしたら、特別に生地を休ませたり、一晩寝かせる必要はないのです。
むしろそれが失敗の原因になる・・・・・
それから天然酵母をお使いの方が実に多く質問を下さいます。
そんな中で自家製酵母をお使いの方も多いのですが、天然酵母を使うと言う事は、生半可な温度管理では菌がダメージを受けるのです。
そして、冷凍や冷蔵をすることで、ほぼ膨らみの悪い生地が完成してしまうのです。
天然酵母と言うのは、イースト菌の数倍膨らむ事が得意な菌が少ないのです。
と言う事は、膨らむのに時間がかかることになります。
しかも、膨らむのに必要な温度帯が極めて狭い。
ですから、家庭でその菌を使って温度帯の広いパン、つまり生地を冷やしたり発酵させたりするクロワッサンのようなパンを作る場合、ほぼ間違いなく無発酵パンを作っている事が多いと思います。
あくまで、ご自分の知識と技量、設備と経験からレシピを選ばないと、失敗する事になるのです。
ホームページやブログなどで、素敵なパンの写真が掲載されてレシピも紹介したりしていますよね。
あれを見たら、誰だって作れるかのように感じてしまうものです。
しかし、今時は写真映りはとても良いのですよ、たとえどんなパンであっても(~_~;)
しかも加工して載せてますしね。
実際に美味しいかどうかは・・・・・・??????
アイデア・オリジナル・独創的・斬新・安全・安心・・ そんな言葉につい目が行って作ってはみたものの、完成品は写真のようにはならずにガッカリ・・・・良くある話です。
実際に直接教えてもらう・・・・ 技術の習得としてはこれが一番です。
と言うよりそれしかないと言った方が良いかもしれません。
技術を習得できるようなパン教室が近くにあれば良いのですが、はたしてそこで技術は本当に磨けるのか?
質問を下さる方のほとんどは、パン教室の主催者様であったりしますので、若干の不安も否めない・・・・
また敵を作ったか??? (--〆)
いつも言う事ですが、パン作りはレシピではなく、どう作るかにかかっているのです。 営業する訳ではありませんが、私の場合は遠方の方には直接お逢いできませんので、作業を動画にしてお送りしています。 レシピも皆様に合わせてお作りしております。
私の場合個人のご家庭でも呼んでいただければ参ります。
興味があるようでしたら、お問い合わせくださいね。
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おそらくパン屋さんでもたくさん使われていると思います。
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