綺麗に折り込めたクロワッサンは、このように均一に浮いてくれますね。
いつもはシーチキンとか卵とかソーセージを乗せたりして、どちらかというと
”つまみ” モードで作るのですが、やはり孫は甘いのがいいということで、今回は缶ミカンのシロップ煮とカスタードのデニッシュに変身いたしました。
クロワッサン生地というのは、いわゆる油脂の層を楽しむ生地ですので、特にデニッシュと分けなくても、このようにデニッシュ化させてお楽しみいただけたらと思います。
クロワッサンというと、どうしても巻き込みたくなるかもしれませんが、私は個人的には焼き込み調理パンとして使っています。
クロワッサン生地って、スイーツ系の食材でもしょっぱい系の食材でも、ガツン系の食材でも、どんな食材にも意外と合いますしね。
今回は奇麗に折り込めたよと思ったら、画像のように層を前面に出したような形にすると良いでしょう。(カットのみで成形はしないタイプですね)
今一だった・・・と言う場合は、細長い棒状に切ってチョコレートを付けたりして、ポッキー風にしても子供が喜びますよ。
では今回は、成形後の発酵から焼くまでについて少し解説していきたいと思います。
クロワッサンの発酵と焼成について
クロワッサンの折り込みがきちんとできていないと、成形後も様々な???に遭遇することになります。
こちらの画像では、ほぼ層はなくなってしまっていますね。
バターを折り込む作業としては普通にできたはず・・・だと思っていたら、いざカットしてみたらあれれ・・・なんか層らしきものが見当たらないぞ・・・
実によくある光景です・・・残念ながら(汗)
いったい何がいけなかったのでしょうか?
原因は色々あるにはあるのですが、この画像で言うと生地とバターが同化してしまっているということになります。
つまり、折り込んでいるつもりが、練り込まれてしまったということなのです。
そんな状況が起きやすいのが、生地を冷蔵保存しながら作業した場合です。
生地は冷え方がいまいちで、そうなりますとどうしても弾力が出てしまいます。
すると、なかなか伸びませんから、どうしても何度も何度も麺棒を当てることになってしまう・・・
結果、バターが生地に馴染んでしまい、層が出来るのではなく練り込まれた状態になってしまうのです。
生地もバターも、双方ともカチカチになるギリギリのところまで冷えていることがとても大切で、特にパン生地はけして膨らみが確認できるような状態ではいけないのです。
ここがとても難しい部分かもしれませんね。
そう、やっぱ折り込み方が折り込み過多ではいけないのですね。
層がこのようにきれいに出ていて、しかも生地にハリがあることが重要なのですね。
この画像のようになるよう、何度もチャレンジしましょう。
また、成形後の発酵過程でこのように生地切れを起こす場合もあると思います。
この場合は、折り込み自体はきれいに出来ていますが、生地そのものへのダメージが若干あるということになります。
ボリュームもありますので、小麦粉が弱すぎるとかイーストが少ないなどのレシピの問題ではなさそうです。
恐らく前回紹介したように、成形時に生地を引っ張りすぎてしまったか、折り込む過程で生地が膨らんでしまったかなどが考えられます。
しかし、この程度でしたら焼けば目立たなくなりますので、そう気にするようなことではありません。むしろ80点と言ったところでしょうか。
では次はちょっと内層を見ていただきましょう。
やや粗い感じですね。
折り込みが約半分くらいは同化してしまった感じでしょうか。
そうなりますと、どうしても中心部は空洞になりがちで、外側は層の少ない状態になりますので、軽い感じのサックリ感は得られないかもしれません。
天然酵母などでクロワッサンを作ると、わりとこんな感じになったりします。
層の細かい部分まで膨らませる力が酵母に求められるのですが、やはり冷やす工程などで天然酵母だとやや元気を失ってしまい、このように粗い層になることがあります。 でも、とても美味しそうですけどね・・・
逆にこちらは非常に細かい層になっていますね。
表面も今にも皮が一枚剥がれてしまいそうなくらい薄くなっています。
どちらが好みかも分かれるところだと思いますが、比較的強い粉で、比較的しっかりと捏ねられた生地で、イースト菌の配合が多めだとこんな感じになります。
また、バターとマーガリンでも意外と内層は違ってきますよ。
先ほどの粗い内層のものは恐らくバターで、こちらのキメ細かい内層はマーガリンだと思います。
それくらいマーガリンと言うのは薄く伸びてくれるということですね。
生地の捏ね具合と言うのも意外と解りずらいと思いますが、ご家庭でのパン作りでは、手捏ねの場合はまず捏ねすぎと言うことは無いと思います。
逆に、機械で捏ねていらっしゃる方はほぼ捏ねすぎていると感じています。
機械で捏ねた生地ってこんな感じです。
これだと80%捏ねと言った感じでしょうか。
食パンだとしたら捏ねがやや足りないですし、クロワッサンだとしたら捏ねすぎだと思います・・・が、実はクロワッサンの生地と言うのは人によって非常にまちまちなのです。
私が初めて教わったパン屋でもミキシングは約12分行っていましたし(もちろん機械です)師匠に教わった行列が出来るクロワッサンも12分捏ねていました。
どちらが良いのか、どちらにすべきなのかは本当にそれぞれの好みなのです。
ただ、とにかく軽いサックリが好きと言う方はある程度捏ねた方が層が細かくなり、解りやすく言うとパンっぽいのが好みの場合。
他方あまり捏ねない人が好むのは、最上部の画像のようにザクっとした重い食感を楽しみたい方で、解りやすく言うとお菓子っぽい、パイっぽい感じにしたい場合。
ただし、ご家庭で良く捏ねてパンっぽく軽い食感にしたい場合は、とにかく折り込みづらくなりますので、よほど慣れてきてから望んでほしいと思います。
捏ねる=弾力が出るわけですから、伸ばしても伸ばしても戻ってきてしまうような生地になりますので、対策としては生地の捏ね上げ温度をかなり低く20℃以下位に出来れば、弾力も抑えられるかもしれません。
ではこちらはどうでしょう。
層は出来てはいるようですが、成形後の発酵が不十分だったり、そもそも折り込みのバランスも悪く、だいぶ生地が切れてしまっています。
また、イーストが活発に動いていない感じもしますね。
焼成前の発酵でバターが出てしまうような温度帯で発酵をとった場合も、このようになります。
総合的には、折り込みのバランスが極端に悪いものと考えられます。
こちらもほぼ同じで、折り込み中に生地を破壊してしまった感じですね。
バターが層に広がっておらず、ぼこぼこの状態でちらばってしまった、折込って難しいねと感じてしまう画像です。
こちらはめちゃめちゃ元気ですね。
生地はかなり捏ねられている感じがしますが、その割にはきれいに折り込まれていて、機械で折り込んだことが解ります。
やはり、生地とバターを薄く層にしていくという作業に関しては、機械の上に出る者はいないでしょう。
それくらい、機械生産に向いているパンであるとも言える訳ですが、だから何??って気持ちで、どうぞご家庭で作りまくりましょうね。
手で折り込んでもこんなにきれいに出来る方もいる訳ですから、あとは数をこなすのみですね。
ちなみにわたしはこんなにきれいには作れませんけどね。
この画像を提供してくれた方からは、こんなお悩みを戴いたのでした。
底がこのように破けてしまうのだとお悩みの様なのです・・・
ぜいたくな悩みですね~
あまり底を気にされる方はいないと思うのですが、どうしても層が薄い感じに仕上げると、そこはこのように破けたりするものです。
使っているベーキングシートにもよりますが、あまり滑りが良すぎてもこうなります。
適度にくっつくくらいがちょうど良いのですが、滑りがあまりにも良いようなら、一度くしゃくしゃにして、それを広げて使ってみて下さい。
また、オーブンのどの段で焼いたかによっても若干違ってきます。
家庭用のオーブンでそこまで求めるのは難しいとは思いますし、あとは色々なコツを各ご家庭ごとに見つけていただくしかないと思います。
そして最後に艶出しについてですが、一番艶が出るのはやはり卵黄です。
しかも二度塗りですね。
しかしですよ、この塗りで生地を潰してしまっては元も子もありませんので、ご家庭では艶出しはしないでいただきたいと思います。
その代わりと言っては何ですが、砂糖と水を同量火にかけて、冷めたらキュラソーなどでちょっと香りを出したシロップをたっぷり塗ることで、光沢も出ますし、より美味しくなります。
是非そちらをご検討くださいませ。
とまあ色々書きましたが、どれにも当てはまらない、困っているという方は、遠慮なくお問合せくださいませ。
その際は画像のご準備もお願いいたします。