やっぱり手作りパンが好き

ご家庭でのパン作りをとことん応援します。長年のベーカリー経験とパン教室経験にもとづく、超解りやすい解説を心がけています。

パン生地のパンチとは

 

パン生地のパンチは必要か

 

パンチに関しては、実は大変問い合わせの多い質問の一つでもあります。

しかし、技術面を文章にするのは誤解を招く場合もあり、それぞれの技術力の違いによって結果が大きく変わってしまう事から、あえて公開はしないできました。

しかし、家庭でパンを作られる方からの問い合わせの中には、ミキシングに関するもの、つまり生地の出来具合について不安を持っていらっしゃる方が大変多い事に気が付きました。

生地作りはパンの生命線です。

どう捏ねたかによって、その後のパンの成長度合いは大きく変化して行きます。

また、どう捏ねるかによって、膨らみ加減や食感・さらには口溶けや風味に至るまでの全てをイメージする事が出来るのです。

しかし、各ご家庭において、自分の捏ねたパン生地がどのような状態であり、かつそれが狙い通りなのかどうかは判断が出来ないと思うのです。

我々が業務用のミキサーで、約15分平均でミキシングをしている生地を、仮に3分減らして12分にしただけで、パンのボリュームや焼き加減は大きく変化して行きます。

それぞれの生地の最良な状態を常に掴んでいなければ、パン屋は成り立ちません。

しかし、それをご家庭で判断するのは少々無理がありますし、最良には恐らく程遠い事でしょう。

と言うよりも、毎回違う状態に仕上がってしまう事もあると思います。

季節により、湿度により、仕込み量により、捏ね方により、パン生地は常に一定には仕上がりません。

そんな生地状態を見抜き、毎回適正に捏ね、かつ生地の状態に合わせてその後の作業を工夫するなど、もうそれは家庭でのレベルでは無いのです。

しかし、皆さんはそんな不安と正面から向き合っている。

そして、何とかしたいと考えておられる。

スタッフでさえそんな考えを持たない者が多いのに・・・・

そこで、考えました(^0_0^)

ミキシングでの生地の状態が完璧でなくても、完璧な結果を得られるような手法を・・・・

それが ”パンチ” です。

今回は、基本的には菓子パンやバターロールなどの加糖生地で説明して行きます。

もちろん食パンにも代用できますし、フランスパンなどのハード系パンにはパンチはとても有効です。

パンチの実際は、画像がこちらにありますので、確認しておいて下さい。

 

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ではなぜパンチが有効なのか説明しておきましょう。

発酵の途中でパンチをするという事は、叩かれた生地は気泡が細かくなって内部に分散されて行きます。

それをたたんでいく事で、気泡の層が出来ていきます。

つまり、そのまま発酵をとっているよりも、格段に気泡が細かくなり、かつ数が増える訳です。

と言う事は、よりソフトなパンになり、より弾力のあるしっとりとしたパンになる訳です。

 

でもそれってボリュームが出過ぎたり、かえってパサ付きの原因にはならないの?

 

そう思いますよね(*^_^*)

今まで作ってきたの生地をそのままパンチしたらそうなりますよ(~_~;)

ですから、今回はパンチする為の生地を作るのです。

さらに、今回は手捏ね程効果があります。

つまり、生地はあまり捏ねない方がいいと言う事ですね。

生地の捏ね上げ状態がMAXだと、どうしても生地切れが起きてしまいます。

ですから、ミキシングは5割程度で終了する感じが良いと思います。

さらに、生地はとにかく柔らかくして下さい。

つまり水をたくさん入れて欲しいのです。

水が沢山入ったパン生地は、パンのしっとり加減にも一役買いますし、パンチをした時の生地のダメージをやわらげてくれるからです。

さらにさらに、イーストの量は少し減らして下さい。

さらにさらに、捏ね上げ温度は1℃ほど低くして下さい。

た~だ~し~ 発酵時間はその分プラスして下さい。

例えば、サフの金ラベルインスタントイーストを1.2%使って80分発酵させていたバターロールだとしたら、イーストを1%にして、発酵時間を120分にするという感じです。

パンチは60分経過後に行い、残り60分発酵させます。

生地が非常に柔らかければ、120分の間に2回パンチをしても良いと思います。

その場合は、60分でパンチ、30分でパンチ、その後に30分で分割に入ります。

最初の60分はそのままの方が良いと思います・・・・・が、絶対ではありません。

40分パンチ40分パンチ40分で分割でも良いかもしれません。

それは、レシピや捏ね上げ温度によって変わってくると思いますので、あくまでチャレンジしてみる事です。

生地が非常に柔らかいパンは、あまり家庭では作らないと思います。

生地の扱いが大変ですし、ベトベトして上手く成形できないからだと思います。

しかし、手にサラダ油を付けながら、サラダ油を敷いた入れ物の中でならパンチも出来るはずです。

そうしてパンチを2回もすると、生地は意外にもプリプリしてきて成形できるようになります。

ですから、最低でも5%、できるなら10%程度水を増やす事をお勧めします。

発酵時間を長めにとることと、生地をたたんでいく事で、水分を多く含んだ、気泡の多い生地になります。

プリプリすると思いますので、成形は簡単なものにしておいた方が失敗は無いと思います。

皆様が作るパンのレシピはまちまちだと思います。

ですから、ここで紹介できるのは以上だけです。

どの位捏ねるか、どの位柔らかくしてみるか、とにかくパンチの力を体験してみて下さい。

あんなにベトベトだったのに、こんなにプリプリになるなんて・・・

という感覚が味わえると思いますよ(^_-)-☆

パンチの際の生地の扱い方及び、パンチされた生地の成形は、皆さまの技量に任せる事になります。

しかし、少なくともミキシング状態の最適を見極める方が難しいと思われますので、ミキシング状態をあまり気にする事のない、パンチによって生地を作っていくという手法は、家庭でのパン作りには有効かと考えます。

ただし、時間が無い人にはそもそも採用されないと思いますが(~_~;)

 

パンチに関してはこちらもチェック

 

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