やっぱり手作りパンが好き

ご家庭でのパン作りをとことん応援します。長年のベーカリー経験とパン教室経験にもとづく、超解りやすい解説を心がけています。

パン作り ここを押さえれば失敗しない ポイント&アドバイス3

 

焼成について

 


オーブンは各家庭ですべて違うものを使用されているはずです。

ですから、レシピに何度で何分焼くなどと書いてあっても鵜呑みにしてはいけ ません。

何度で何分焼くかと言う事よりも、最適な状態になるまで焼くためには、御自分のオーブンだと何度で 何分必要なのかをつかむことがポイントなのです。

「最適な焼成状態を早くつかんで、パンに応じて設定温度を変えていけるよう に頑張りましょう。   

 


ポイント1  焼成温度は限りなく強火で 

 


失敗を恐れるあまり、つい弱い火でじっくり焼いてしまいがちですが、 焼成に時間がかかるとパン生地中の水分が余分に飛んでしまい、 パサつきのあるパンになります。

また、火力が弱いと焼成による香ばしい香りも失う事になります。

焼成温度はなるべく強火で、アンパンやクリームパンなどの小型で甘いパン なら、12分以内で焼けるような温度に調整してください。

バターロールなど中身のないパンなら10分程度で焼き上げて下さい。

何度で焼くかはオーブンによってまったく違います。

ですから温度を憶えるのではなく、何分で焼き上げなければならないかを 憶えて、その時間で焼ける温度設定にするのです。

とは言え、オーブンによって中心まで良く火が通るものと、そうでないものが あります。

火力もかなりまちまちだと思われます。

上記の時間ではどうしても焼けないオーブンもあることでしょう。

もし火通りの悪いオーブンであった場合は残念ながら大型のパン (食パンなど)はあきらめて、小型のパンを焼くことをお勧めします。

超高温短時間で焼き上げたほうがパンは間違いなくしっとりはしますが、さすがに中心部が生焼けになってしまうような場合は温度は下げざるを得ません。

その辺の見極めと、一度に多くの個数を焼かないことに中止したほうが良いでしょう。

 

ポイント2  艶出しの塗り卵について

 

エッグウォッシュなんてカッコいい呼び方もあるようですが、卵を表面に 塗る事で、綺麗な艶がでます。 

しかし、決してお奨めはしません。

なぜなら、ほとんどの人が、この卵を塗る工程でパン生地を潰しているから です。

パン屋さんで毎日何千個ものパンに卵を塗っている人ならともかく、 それ以外の人はかなりの確立でパン生地を潰してしまっています。 

実に繊細に毛先で塗らないと潰れてしまうことが多いのですが、それに気づかずにバンバン潰してしまう人がかなりいらっしゃいます。

私は合計で6年ほどパン教室を開催していましたが、そこにいらっしゃる 生徒さんも、ほぼ全員と言って良いほど、パン生地を潰していました。

そして、ややしぼみかけたパン生地を焼いて、あれ~ あまりふっくらと しないな~やっぱり作り方がわるかったのかしら・・・・・・と 反省するのです。

発酵したパン生地の表面は、とても薄い膜で出来ていて、とてもデリケート です。

少しの振動でも、表面がしぼんだりします。

甘くて油脂が多く入ったようなパンだと尚更ですから、よほど自信のある方以外は、なにも塗らずに焼いて、焼成後に バターなどで艶を出す方が断然いいパンが出来上がります。

焼いた後にバターやマーガリンを塗る事で、表面が乾燥するのを防ぐ事が 出来ますし、味も良くなり、実は一石二鳥なのです。

 

塗り卵についてはこちらの記事も参考にしてみてください。

 

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ポイント3  蒸気焼成について

 

焼成時に、蒸気が必要なパンがありますよね。

スチーム機能がついているオーブンなら問題ないのですが、もしスチーム 機能が無い場合は、ホームセンターで水槽に入れる石を購入し、それを オーブンで空焼きして熱々にし、アルミ皿にのせてオーブンの下段に セットします。

パン生地をオーブンに入れた直後に、熱々の石に水を40g程度ふりかけて、 すぐに蓋を閉めます。 

すると、ジュワーっと蒸気が発生し、フランスパンなどの蒸気を必要とする パンが、上手に焼けます。

ポイントは、石をあっつあつにする事と、水を一気に石全体に降りかける ことです。

パン生地をオーブンに入れてから、霧吹きでパン生地を濡らすという方法が 本に載っていたりしますが、それでは駄目です。

必ずしも石である必要はないのですが、熱を貯めておける素材でないとすぐに冷えてしまって上記が勢いよく発生できないので、経験上やはり小石がおすすめです。

そもそも何故蒸気が必要なパンがあるのでしょうか?

蒸気が必要なパンというのはどのようなパンなのでしょうか?

それはこちらの記事を参考にしてみてください。

 

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 最終発酵について

 

ここまで、捏ねるところから焼成までをザッと書いてきました。

ご家庭でのパン作りというのは、本当に家庭の数だけ色々ある、作る人作る人皆それぞれの個性がタップリなので、あまり難しいことは書かないできましたが、せっかく上手に捏ねて上手に成形出来た生地でも、先ほど説明した通り卵を付けた刷毛で潰してしまうことが非常に多いのです。

もちろんそれでペタンコになってしまったら、誰でも「あちゃ~」と気が付くと思うのですが、部分的にほんの少し潰してしまうというのが一番多いポイントになりますので、できれば塗らないことが一番良いとは思うのですが、やはり美しくお化粧もしたくなりますよね。

そこで一番注意していただきたいのが「最終発酵」なのです。

最終発酵とは成形を終えて焼く前の発酵のことになりますが、この時高温多湿の場所へ入れてしまうと生地の表面がもろくなり、非常につぶれやすくなってしまいます。

成形を終えた生地というのは、寒い部屋でない限りは室温に放置するくらいが丁度よいのです。

オーブンの発酵機能を使用すると、どうしても温度設定が高すぎる場合があって、そのせいで失敗するケースを多く見受けます。

ベーキングシートやアルミホイルに成形した生地を乗せていると思いますが、そのお皿ごと大きめのビニール袋などですっぽりくるみ、できるだけパン生地自身の温度で膨らんでいくことが理想なのです。

そうすることで、弾力のあるしっかりとした表皮のまま最終発酵を終えることが出来、ある程度の衝撃にも耐えるようになります。

最終発酵を終えた生地の表面が、まるで蒸したての中華まんのようにホカホカになっていたとしたら、それは温度湿度が高いのだということを覚えておいてください。