やっぱり手作りパンが好き

ご家庭でのパン作りをとことん応援します。長年のベーカリー経験とパン教室経験にもとづく、超解りやすい解説を心がけています。

気をつけようがない??見えざる世界・・・

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https://asukainfo.com/komugiko-shoumikigenn

 

2021年7月

なかなか梅雨が開けずに毎日毎日ミストをかけられているような気分で、とても憂鬱ですが皆様いかがお過ごしでしょうか。

東京ではなんと4度目となる緊急事態宣言が出されるということで、どこまでいってもコロナを撃退することができないでいる我が国ですが、やや他国と比べるとおそまつな対策がおこなわれていて、はたしてワクチンだけで今後収まっていくのかどうか皆様もさぞお悩みのことでしょう。

たまたまパン業界としては好成績を収めているお店のほうが目立ち、私の戦友たちもどちらかと言えば売上が上がってきている人のほうが多く、本当に打撃を受けていらっしゃるであろう業界の方々には申し訳ない気持ちがある一方、本来であれば他国のようにもっともっと国がお店や業界を支援し、間違っても倒産などということにならないようにしなければならないところとなのに、間違った貨幣観のために未だにケチケチして大きな財政出動をしません。

 

「とにかく自力でなんとかしなければならない」と思っているお店が多いと思いますし、お店を応援している個人(客)がたくさんいるとは思いますが、だからといってどうすることもできませんよね。

 

お店に行ってあげたくても、人数制限やら営業は19時までとか酒は駄目とか、とにかく行きたくても行けない、応援したくてもできないのです。

「だからこそのテイクアウトなのでは・・・」というのは簡単ですが、結局そのための様々な準備や費用が上乗せされますから、テイクアウトさえしていればOKというような単純な話ではないのです。

 

今回のような言わば見えない敵に対して、しかもこれだけ長きにわたり国民を苦しめているウイルスに対抗する手段として、「なぜ夜の8時に店を閉めることが最善なのか」「なぜ夜の飲酒や飲食だけを制限するのか」が全く理解できないのは私だけではないでしょう。

 

現に、完全にロックダウン政策を行う代わりに、国民が外へ出なくても良いように、数ヶ月に渡り所得保障を行った国はコロナ患者が激減しました。

 

我が国のように中途半端に制限するだけでは、今回のように緊急事態宣言を何度も行う羽目になり、もし今後も保証は乏しく宣言だけを特定の業界にだけ強要するようであれば、内乱が起きていつまでたってもコロナは収まることはないでしょう。

 

「うちのお店は大丈夫」とか「うちの会社は今の所打撃を受けてはいない」と言っていられるのも今のうちだけで、あちらこちらでお店が無くなり、倒産が相次ぎ、様々なものが手に入らなくなる、あるいは価格が跳ね上がるなど現象が起こってくるはずです。

 

もう黙って入られません。

しっかりと今の政府にNOを叩きつけましょう。

 

・・・と、なにやら演説のようになってしまいましたが、今回の本題は全く別の話になります。

 

昨日戦友である工場経営の社長からこんな質問がきました。

それは、「パンの中に非常に小さな黒い点のようなものが発見され、気になったので顕微鏡でみたらなんと虫だった」というのです。

この社長の工場はHACCP(ハサップ)認定工場ですので、とっても衛生的で虫の侵入なんかあり得ないと言えるような環境なのです。

しかし、ほんの少しではあるものの、虫の存在が分ってしまい、どの段階で混入するものなのか、またどう対処すべきなのかと問われたわけです。

 

パンの中に虫って気持ち悪~って思いますよね。

しかしです、現実問題としてパンの中にはかなり多くの虫が存在し、私達はそれを知らず知らずの間に口にしてしまっているのだとしたらどうしますか???

 

ということで、ちょっと気持ち悪い内容となりますが、この6・7月という梅雨時には特に気をつけなければならない小麦粉の管理についてお話ししておきたいと思います。

 

 

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https://www.kajitaku.com/column/house-work/8484

 

細かいことはそれぞれの画像の下のアドレスからサイトへ行って確認してみてください。

さて、今回私が社長に申し上げたのは、「見なかったことにしてください」でした。

またなんと無責任な・・・と思われるかもしれませんが、実はこちらの会社であれ、皆様のお宅であれ、またはパン屋さんであれ、お使いの小麦粉の中にはほぼ確実に虫の卵が存在しているのです。

それはおそらく米でも同じことが言えると思うのですが、それらの虫の素、つまり卵の状態で見分ける、振り分けるということは不可能なので、気持ち悪い話かもしれませんが卵が入った小麦粉で私達はパンを作っているわけです。

ただ、見分けがつかないほど小さな卵ということは、私達がほぼ日常空気と一緒に吸い込んでしまっているホコリやダニやその他の有害物質と同じことになりますから、そんな事を気にしていたら何もできなくなってしまうわけです。

今回発見された虫もほんの点にしか見えないほどのものですので、例えばパンの中に全粒粉が混ざっていたり、あるいはレーズンパンであったり、あるいはチョコレートなどの色がついた生地だったら見分けがつかないわけです。

ではその点のような虫というのは人体に害は無いのでしょうか?

それは人それぞれの免疫細胞の違いで変わると思われますので、絶対になんともないとは言い切れませんが、私達が口にする食べ物では例えば野菜などは、水耕栽培でないかぎり虫、あるいは虫の卵が完全にない状態で食べると言うのは非常に難しいと言えますし、仮に加熱して死んでしまっているので大丈夫だというのであれば、パンの中の虫も加熱によって死んではいますので大丈夫といえば大丈夫でしょう。

しかし、代表的なところで言えばダニの死骸でアナフィラキシーを発症する方もいなくはありませんから、とんでもなく免疫の弱い方にとっては、米も小麦も野菜も、とにかく穀物類はすべて危険であることに変わりはないことになるでしょう。

しかしごくごく一般的に言えば、それらの虫の幼虫などを口にしたからといってどうなるというようなものではなく、むしろ食べすぎでお腹を壊すとか、冷たいものを取りすぎてお腹を壊すとか、食べ合わせが悪くてお腹を壊すことのほうが遥かに現実的な問題であって、気にすべきことではないというのが私の結論です。

 

小麦粉の保存で気をつけるべき点とは

 

小麦粉の保存で検索していただけばあらゆる情報が見ていただけると思いますが、

要するに結論としてはこんな感じです。

 

1,とにかく早めに使用するようにする。

2,使い切れない場合は密閉容器にいれて冷蔵保存する。

 

粉物というのはカビが生えたら「あら大変」と誰でも気がつくと思うのですが、以外にも虫やダニがいても気が付きません。

もちろんそれらに味はありませんから、まんまと一緒に食べてしまっているのが現実なのです。

粉物とか調味料などは、以外にも流しの下に収納されていることが多く、この場所というのはとても湿度の高い、カビ菌が繁殖しやすい場所でもあるのです。

ですので虫やダニにとっては最高の環境となり、例えば買ってきて数週間使わないでいた未開封の小麦粉であったとしても、かなりの確率でダニは育ってしまっているのです。

もっと言うと、全粒粉とかライ麦粉などという白い小麦粉以外の粉には更に多くの卵がいますので、あっという間に育ってしまうのです。

本来であれば風通しの良い場所が保存に適しているのですが、そういっても温度と湿度は梅雨時期にはかなり上がってしまいますよね。

ですので、虫やダニが繁殖できない温度と湿度である冷蔵庫での保存が一番正しいのです。

ではパン屋さんはどうなのかといいますと、パン屋さんでは一日に約3~5袋の小麦粉を使います。(25Kg入)

一日に10袋も使うパン屋さんもありますから、それを冷蔵庫で保存するというのはかなり無理があります。

ですから現実にはほぼ常温で置かれていますので、速やかに使い切ることくらいしか解決策はありません。

ただし、小麦粉以外の全粒粉やライ麦粉などは是非冷蔵保存しておいてほしいと思います。

 

大手のパンと焼き立てパンはどちらが安全か 

 

何を持って安全だと捉えるかは人それぞれだと思いますが、こと異物混入や虫などの害虫の混入が絶対にないと言い切れるのは残念ながら大手工場だけでしょう。

なぜかといいますと、そもそも小麦粉が入っている袋というのは紙ですよね。

さらにそれは完全密封ではありません。

さらにさらに、小麦粉の輸送っというのは一般のトラックですから、その積み下ろしも衛生的であるとは言い難いでしょう。

虫やダニというのは時には小麦粉の袋を破って侵入してきますし、倉庫やトラックの中にもいるはずですから、いつでも小麦粉の中に入るチャンスがあるわけです。

それを常温保存しているわけですから、一度増え始まったら工房のそちらこちらで育ってきてしまいます。

一度開封しようがしまいが、梅雨時期に一週間以上常温で放置した小麦粉には、確実に米粒ほどのダニが居る可能性がありますし、とくにシバンムシなどの黒ごまかな?と勘違いしてしまうような茶色い虫がわいてきます。

また、粉類を計量する場所というのは壁から床まですべて粉まみれですから、これも梅雨時期にはダニや虫にとっては最高の居場所なのです。

 

誠に残念ではありますが、いくら清掃を心がけているとしても、なかなか完全撃退はできないのがこれらの「目に見えない害虫」なのであり、そこを突かれると参ってしまうパン屋さんが多いのも現実問題なのです。

 

それでも随分と衛生的になってきたと言える現代、江戸時代には平均寿命が45歳くらいだったということを考えると、今はその2倍も長く生きられるのはきっとそれらの見えざる敵である害虫や病原菌が当時は猛威を奮っていた時代だったと言えるのかもしれませんね。

しかしその反面で衛生的すぎる環境が本来の免疫細胞を弱めてしまって、アレルギーに悩む子どもたちが増えてきてしまっているのかもしれないと考えると、本当に人間と病原菌との戦いはどこまで続くのでしょうか。

 

ということで皆様、粉をじっと見つめるのが怖くなってしまうような話をしてまいりましたが、どうかこの時期だけは粉の保存にだけは気を使ってほしいと思います。

 

そして楽しいパンライフを・・・