よくもまあこんなこと平気で言えますね~
ゴキブリも食べないようなものを私達はパンに塗って食べている・・・と言うのですが、なんならゴキブリは塩も食べませんけどね~
この手の記事はそちらサイド(自称健康志向第一の方々??)の方々によってかなりの数出回っておりますし、書籍もたくさんありますよね。
怖いもの見たさで一度は目を通しておいたほうが良いとは思います。
その上で、自分なりの主張を持つことが大切だと思います。
それでも多くの人は毎朝トーストにマーガリンを塗っていると思いますので、寿命はかなり短くなりますよ~
それに皆認知症になりますよ~
それだけでは済まなくて、動脈硬化に糖尿病、そして心筋梗塞などでバッタバッタと死んでいくはずですから、これはもうコロナどころの騒ぎではありませんね。
まさかそんな恐ろしい食品を毎日摂り続けていたなんて・・・と、そのような記事を今更初めて目にしたような人はびっくりしてしまうと思いますが、そんな貴重な体験をされた方々の中にも、すでに90歳を迎えているなんて人もいらっしゃることでしょう。
・・・???ちょっと待って下さい、ということは、毎日のようにマーガリンを食べて生きてこられて、そして90歳になろうという方々というのは超人なのですか?
それともあれですか、朝方にやっているニンニクだの青汁だのシジミエキスとかのおかげでたまたま無事だったということなのですか??
「今からでも遅くない、マーガリンを食べるのはもうやめよう」そう決心すべきなのでしょうか?
そんな訳ありませんよね。
ノストラダムスの予言もそうですが、世の中には様々な研究をされている人達がいて、そしてそれを世に発表して警鐘を鳴らしたいという思いもあるでしょうし、単に書籍を売りたいと言う思いもあるでしょうし、ある意味いかれちゃってる人もきっといることでしょう。
食品で人体実験だけは行なえませんから、どうしても動物実験の結果を人間に置き換えてこのようにオーバーに表現することになるのでしょうが、いい加減にしてほしいものです。
しかし近年、企業側の努力によってかなり低トランス脂肪酸の油脂が出回っておりますので、かりに大食いしてしまったとしても問題ないと思いますよ(笑)
ちなみに不安な方はこちらの油脂メーカーのサイトも御覧くださいね。
私もこの手の話は大好きな方なので、必ず目を通してみますが、ほぼ予測でものを言っているに過ぎません。
また、可能性の域を脱していません。
現実問題として平均寿命が伸びてきていて、それらが野菜中心の食生活だから、無添加・無農薬の食生活をしてきたから、青汁を毎日飲んでいるから、パンやスナック菓子を食べないで生きてきたから・・・なんていうデータはどこにもありません。
なのでみなさん、大いに大好きなものをそこそこセーブしながら(太らないために)食べて、そしてできれば運動もして、騙されることなく生きてまいりましょう。
・・・いや、そんな結論を言うのが主題ではありませんでした。
パンにはなぜ油脂が必要なのかを説明したかったのでした(笑)
パン作りに使う油脂の選択はどうやって決めているのか
ブログを通してたくさんのパン屋さん、あるいはホームベーキングの方々のレシピを拝見する機会があるのですが、基本的にはパン屋さんではマーガリンで、ご家庭ではバターが多く使われているようですね。
なぜなのかはあくまで予想でしかないのですが、ご家庭では上記のような説明をするサイトが多いためなのか、なんとなくバターのほうが安全?ではないかとお考えの方がある程度いることは確かでしょう。
また、ただ単に味を良くしたいからという点でバターを選ぶ方ももちろんいらっしゃるでしょう。
対してパン屋さんというのは上記のようなサイトにはそもそも興味もありませんし、なんなら本当にやばかったら販売中止になっているだろうから・・・くらいの考えだと思いますし、それよりもなによりも、実際長きに渡って使用してきた原材料に対する信頼がありますから、あくまでパンを美味しくするための選択という観点からマーガリンを選択するお店が多いのではないかと考えます。
もちろん使いやすいからとか比較的安価だからという理由もあるとは思いますが・・・
唯一つ気になるのは、何でもかんでもバターだったりマーガリンだったりというお店が意外と多いという点なのです。
もちろんそれがいけないとか間違っているということではないのですが、何を求めてあえてそのパンにバターを使うのか、マーガリンを使うのかをきちんと分っているかどうかということなのです。
その点を実際に確認してみると、ほとんどが「教わったレシピにそう書いてあるから」とか、「油脂としてバターが最も美味しいと思っているから」という答えが最も多く、中にはやはり「マーガリンはちょっと・・・」という先入観をお持ちの方もいらっしゃいました。
そしてもっと残念なのは、ショートニングに対するイメージなのでした。
どういうことかと言いますと、「ショートニングは無味無臭なので、パンに入れても美味しくならないと思っている」「原価を下げるために入れてはいるが、特別それ以外の理由は感じていない」という考えをお持ちの方が非常に多いのでした。
う~ん、確かに無味無臭なので、ミルクフレーバーを感じることはありませんし、バターの美味しさは間違っても得られませんね。
しかしですよ、パンの美味しさってバターの味で決まるものなのでしょうか?
マーガリンが持つフレーバーによって美味しさが決まるのでしょうか?
「そりゃそうでしょう、バターを入れた食パンとショートニングで作った食パンとではどちらが美味しいか明白なのでは」
そんな意見も飛び交いそうですが、少なくとも私はそうは思っていません。
パンの美味しさに油脂の味わいとか風味が関わっていることは間違いないとは思いますが、それだけではありません。
むしろ乳フレーバーが無いほうが美味しくなる、乳フレーバーが邪魔な場合もあると思うのです。
そう考えますと、自店のパンの美味しさは油脂メーカーの香料の香りである・・・というのは若干悲しくないですか?
美味しそうな香りというのは勿論大切ですし、お客様は香りが大好きです。
ですのでどうしてもインパクトのある香りをつけたパンのほうがもてはやされたりするのが現実かもしれませんが、なんでもかんでもその香りがするパン達というのもいかがなものかと考えてしまいます。
そんなときにこそ、無臭のショートニングを使うことで小麦そのものの風味を強調させることもできますし、しっとり感とかソフト感はマーガリンを使っているときと何も変わりはないわけですから、特に小麦粉にこだわっているようなパンの場合にはなおさらのこと、余計なフレーバーは抜きにして発酵の香りや焼成の香りを味わってもらうためにこそショートニングを大いに活用してほしいと感じる次第です。
ではバターとマーガリンの使い分けは??
そもそもショートニングとマーガリンというのはほぼほぼ同じような油脂であることはおわかりいただけたと思います。
ではバターとマーガリンってなんとなく見た目は似てはいますが、同じようなものなのかと言うと実は全く別物ですよね。
そのあたりの詳しい説明はこちらを参考にしてみてください。
バターとマーガリン、似ているようでも随分違う・・・・ - ベーカリーアドバイザーの部屋
ご存じの方も多いと思いますが、バターは牛の乳から作られた動物性脂肪ですから、そもそも原料そのものが全く違います。
牛さんは自らのお肉で私達を幸せにしてくれているだけではなく、お乳からも牛乳やバターや生クリームやチーズやヨーグルトなどを作らせてくれているわけですから、一体どれだけ人間にとって欠かせない動物なのかがわかりますね。
同じように鶏さんもそうですが、生まれる卵から自らのお肉に至るまで、すべてが私達の生活には欠かせないものになっているわけですから、この2つの生き物には本当に感謝しかありません。
いや、ブタさんにもほぼ毎日お世話になっております、本当にありがたいことです。
さてこの牛さんのお乳から作られたバターというのは、とにかくパンに限らずあらゆる料理を美味しくしてくれるスーパー油脂ですよね。
パンに配合すればそれはそれはいい香りと、そして味わいを残してくれます。
もし原価を考えなくてよいのであれば、もっともっとたくさん入れてパンを作りたいところですが、これまた非常に高価な油脂と言えますから、そうたくさん使うというわけには行きませんよね。
だからこそマーガリンと併用したりして、少しでも売価があがらないようにパン屋さんも工夫しているわけですが、ここでもちょっとだけ残念に思うことがあるのです。
それは、「バターとマーガリンの併用は慎重にしてほしい」という点なのです。
バターが高価なので半分をマーガリンに・・・というただそれだけで併用してしまうのはちょっともったいない気がしてしまいます。
というのは、せっかくのバターのフレーバーがマーガリンと混合してしまうからです。
マーガリンによっては、バターとはまったく異なるフレーバーのものがありますから、???な変わった風味となり、かえって双方の良さを殺し合うこともあります。
どうせ併用するのであれば、ここはやはり無臭のショートニングと併用していただくことで、バターのフレーバーはそのままに、油脂としてのパンへの効果もそのままに、価格だけを安くすることは出来ると思います。
マーガリンの特徴というのはなんと言っても香りです。
買ってみなければその香りを直接確認することはできないわけですが、色々と買ってみてお好みを探してほしいと思います。
また、マーガリンの中にはバターと混ぜて作られているコンパウンドマーガリンというものがあります。
少しでもバターの美味しさに近づかせるためだと思いますが、その分純粋なマーガリンよりは高価となっています。
このコンパウンドマーガリンというものも様々な香りのものがありますから、まずは一度使ってみてその香りを確認してみるしかないでしょうね。
スーパーなどで手に入る種類はそう多くはありませんが、ネットで業務用なども調べてみると驚くほど沢山の種類があります。
その中からお気に入りを探すのも一苦労ですねどね。
オリーブオイルなどの液体の使い方
パンに配合する油脂というのは基本的には固形ですよね。
それはなぜかと言いますと、”可塑性”という固形特有の弾力のような性質(粘土のような感触)がパンの弾力作りに合っているからなのですが、たくさん入れれば入れるほどこの弾力が重要になってくるのです。
というのは、バターもマーガリンもショートニングもオリーブオイルも結局は油ですから、パン生地に入れるとなかなか混ざり合いません。
パン生地にはたくさんの水が入っていますから尚更ですよね。
しかし固形で可塑性のある状態だと、わりとスムーズに混ざり合うことが出来るのです。
少量なら(5%くらいまでなら)液体でも、そしてたとえ溶かしてしまったバターであっても大した影響はないのですが、油脂をたくさん入れたい菓子パンとかブリオッシュなどのしっとりとしたパン生地を作ろうと思うと、どうしても溶けている液状の油を入れてしまうとなかなか混ざらないのです。
しかも、混ざらないだけでなく潤滑油のような役割を果たしてしまい、グルテン通しが滑り合って生地がしっかり捏ねられなくなってしまうのです。
ということで、製パン理論的には固形油脂を使用することが絶対・・・のようなイメージですが、各ご家庭においては何を使おうが自由です。
ただし、液体の油を配合したいのであれば初めから入れてくださいね。
また、大量にいれたらそれはもう生地にはなりませんから、その点だけ注意してオリーブオイルなどを入れる際には5%くらいまでとして、そして水分と一緒にはじめから入れて捏ねてください。
初めから液状の油の場合はそういうことになりますが、溶かしてしまったバターやマーガリンも、溶けてしまえば液状の油と同じことになりますから、溶かしてしまったら大量に入れる際には注意が必要ですよ。
バターでもマーガリンでも、捏ねのどのタイミングで入れるかは本当はかなり重要ではあります。
そのあたりはこちらの記事を参考にしてみてください。
油脂投入のタイミングで、何が変わるのか・・・・ - ベーカリーアドバイザーの部屋
最後に有塩無塩について
業務用のマーガリンなどではそのほとんどが初めから無塩ですから、何も迷わないで使っていると思うのですが、ご家庭でのパン作りでは少し迷いますよね。
というのは、業務用で売られているマーガリンというのは基本的にはパン生地に入れるものとしての取り扱いなのに対して、スーパーなどでは基本的にパンに塗るものとして売られているいわゆるスプレッドも混合して売っていますので、どれがパン用なのだ??と迷われても仕方がないのです。
こちらが捏ね用で、こちらが塗り用ですとは書いてありませんからね。
結論から言いますと、何をどうパン生地に入れても、またトーストに塗っても全く構わないのですが、有塩をパン生地に配合するとその分の塩はへらさないとしょぱくなってしまいますし、無塩のマーガリンをトーストに塗ると若干味がボケてしまいます。
ですのでその塩分量を調整すれば何を使おうが構わないのです。
しかしですよ、例えば本来は塩は一切入らないパウンドケーキを作ろうと思っていた場合、有塩マーガリンあるいは有塩バターで作ってしまうとかなり塩を感じることになってしまいますよね。
そんな点だけ気をつけていただければ、何をどう使っても構わないということです。
使い切れないほどの種類が存在するマーガリン、そしてどこまで高価になってしまうのか心配で仕方がないバター、あなたはどちらを使い続けますか・・・