タイガーブレッド、あるいはダッチブレッドとも呼ばれているパンになりますが、生地の配合や中身が何か?ということなのではなく、この表面の独特な表情がとらに似ていることからタイガーと名付けられているパンなのです。
この表情の正体というのは米の粉である上新粉を使って作った柔らかい生地で、これをパンの表面に塗って焼くことで、グルテンがない米粉なので生地同士がつながらずに、このようにいい感じに離れ離れになって虎のような表情になるわけですね。
ということで、さすがにご家庭ではあまり作らないであろうこれらのパン屋さんのようなパンですが、いるんですよね~挑む方々が・・・(笑)
いえいえ、けして馬鹿にしている訳ではありませんよ!
むしろ尊敬しています。
何事にも挑む姿勢が必要ですよね。
そんな挑戦者の方々が作る、もうひと踏ん張りな画像を見ながら、どこを改善していけばパーフェクトになるのかを解説していきたいと思います。
ではまずこちらから
さっそくタイガートッピングにチャレンジされたようですが、ちょっと残念なことになっています。
これはずばり、スチームが足りていないのと、塗り方の問題だと思われますね。
タイガートッピングの混ざりが良くない場合もこうなることがありますが、ほとんどの場合ホイッパーで混ぜていると思いますので、混ざりはまず大丈夫でしょう。
ということは、光沢も全くありませんので、恐らくはスチームが少ないことで滑らかに伸びていくことが出来なかったということだろうと推測できます。
タイガートッピングは、必ず成形してすぐにこのようにやや多めに塗っていきます。
そうすることで、生地と共に程よく発酵して伸びやすくなります。
この際、厚く塗った部分と薄く塗った部分があると、薄い部分はハゲて生地が見えてしまいますし、厚い部分は重すぎてきれいに広がることが出来なくなります。
さらに、スチームが少ないと猶更のこと、生地の伸びに合わせてきれいに広がっていくことが出来なくなり、むらになってしまうのです。
もったりとした液状ですので、さっと塗るというよりも、生地に対してトントンと叩くようにして置いていくというイメージで行うとうまくいくと思います。
また、発酵して焼く前の生地に塗ってしまうと、膨らんだ生地の表面を傷づけることになり、これもきれいには伸びていってくれませんので、必ず成形後に塗って生地と一緒に発酵をとるようにしてください。
では次です
プレッツェルなんてとても頑張りましたね~
しかしご自身は納得できていないようです。
何が納得できないのかと言いますと、ところどころに入ったヒビ模様なのです。
正直言いまして、パンとしてはこちらの方が美味しいと思います。
どういうことかと言いますと、見た目をとるか美味しさをとるかみたいなことではあるのですが、この画像の生地はとても元気に膨らんでいます。
その元気さゆえに、オーブンの中で伸び続けてしまい、表面にきれいな焼き色が付いてからも伸びてしまったということなのです。
プレッツェルというのは、この黒光りしている光沢が魅力で、かつ、締まった内層も魅力の一つなのです。
つまり、このパンの場合は焼く前に発酵を取り過ぎてしまったがために、イーストが元気もりもりで伸びすぎてしまったわけで、本来は成形後の比較的早い段階で発酵を終了して、元気に伸びすぎないうちに焼くのがコツなのです。
そうしますと、もう一回り小さくなってしまいますが、ひび割れのない綺麗なプレッツェルになると思われます。
しかし十分素晴らしい出来栄えです。
では次です
残念ながら、みごとにとじ目が裂けてしまっていますね。
また、生地に光沢がないこと、そして表面が乾燥して白っぽくなってしまっていることが確認できます。
もちろんクープは入れているわけですが、スチームが少なく、しかももともと生地表面が乾燥して皮ばっていたために、クープは閉じてしまい、そのかわりにしっかりと閉じれていなかったとじ目が開いてしまったのです。
スチームが少ないオーブン庫内では、生地の表面はどうしても滑らかさを失い、早めに乾燥してしまいますが、その後も中心部の生地は伸びようとしていますので、どこかを突き破って伸びるしかないのです。
それが本来であればクープ部分になるわでですが、クープが思うように開ける環境にない場合、反対側のとじ目に力が入ってしまうのです。
天板に直接乗せて焼いているようならこうはならないかもしれませんが、ほとんどの場合ベーキングシートにのせて焼くと思います。
すると、ツルツルとすべりますので、とじ目も開きやすくなってしまうのです。
フランスパンを焼く場合は、できればベーキングシートは使わない方が良いかもしれません。
また、生地が硬い、生地が乾いてしまった、生地の温度が高すぎた、手粉を使いすぎたような場合にもこのような現象が現れますので、これらに注意しながらチャレンジしてみてほしいと思います。
では次です
ぞうさんのようなお肌のベーグルですが、ご家庭ではとても陥りやすい問題点たっぷりの画像となります。
なぜこのようにシワシワになってしまうのでしょうか?
これは残念ながら、成形が原因だと言えるでしょう。
そもそもベーグルと言うのは、先ほどのプレッツェル同様成形がとても難しいのです。
この画像のベーグルは、とじ目が極端に細くなっていますよね。
これは、生地を成形していく際にきれいに伸ばすことができず、生地が疲れ果ててしまったのです。
成形になれていない人が生地を伸ばそうとすると、どうしても小指に力が入ってしまい、このように両端が細く真ん中が太くなってしまうのです。
また、何度も何度も手粉を使っては伸びない生地を伸ばそうとするので、結果生地は手粉で表面が乾燥しまくり、生地の中にも粉が入り込み、このようにシワシワになってしまうのです。
そうなりますともう生地はくっつくことができずに、このようにつなぎ目は徐々に離れてしまいます。
成形の難しさが極端に表れてしまうのがこのパンですので、やはり何回も作って慣れていくしかないでしょうね。
茹で加減、焼き加減はばっちりですから、頑張って慣れていきましょう。
ちなみに、ベーグルの成形画像はこちらで紹介していますのでご覧ください。
家庭でベーグルを作りましょう。 - ベーカリーアドバイザーの部屋
では次です
それにしてもすごいパンに挑戦するものですね~
パン屋さんでも作ることが出来ない人はたくさんいるこのパンですが、これも発祥は上記のプレッツェルと同じドイツパンです。
作ることが出来ないと言っても、それなりのパンにはなりますので、こちらの画像でも十分美味しそうだと思います。
ただしこれは塗りタマゴもしているのではないでしょうか?
より艶が欲しいと言うことなのかもしれませんが、塗り卵をぬってからスチームをかけると、卵が洗い流されてしまいますので、あまり相乗効果はないと思います。
こちらはむしろ卵だけのようにも見えますが、やはり生地がハード系の場合はスチームで艶を出した方がきれいに焼けますし、何よりも生地が滑らかに伸びますので、是非スチーム焼成をおススメ致します。
また、ご質問では閉じ口が上に来てしまうのはなぜか?
焼き色がまだらなのはなぜかと言う内容でしたが、まだらなのは卵を塗ったせいなのと、一度にオーブン内に入れすぎだと思います。
こちらがそうですが、焼く前でこれだともっと大きくなっていきますので、8個が限度でしょうね。
また、とじ目がしっかり下に来ていませんし、それぞれの大きさがバラバラですね。
大きいものは焼くのに時間がかかりますし、小さいものは先に焼けてしまいますので、色々な大きさのものを一緒に焼くと言うのはあまりお勧めできません。
成形や生地状態は極めて良いので、あと一歩と言うことでしょうか。
もちろんこれでダメな訳ではありませんよ。
どこを目指しているのかですから、これでも十分美味しそうです。
ただ、ヘルンヘンの最大の美味しさは、プレッツェル同様目の詰まった内層と、香ばしく焼き上げたハリのある表皮とのコントラストですので、より本格的なものを目指してトライしていただきたいと思います。
ちなみにこのように曲がったものが本来のヘルンヘン(角パン)と呼ばれ、まっすぐなものはシュタンゲンと呼ばれます。シュタンゲンをややデブにして、中にバターを入れて表面に岩塩を乗せたものが塩パンの形ですが、塩パンがドイツパンを目指して作られてものかどうかと言いますと、それは違うでしょうね。発祥がどこであれ、使われる小麦粉もレシピも日本とドイツでは全く違いますので、なんと呼んでも構わないと言えばそれまでですが・・・