やっぱり手作りパンが好き

ご家庭でのパン作りをとことん応援します。長年のベーカリー経験とパン教室経験にもとづく、超解りやすい解説を心がけています。

家庭でパン生地を冷凍保存する際の注意点

 

パン生地を冷凍保存するには

 

こんな質問をいただきました。

パンを作る時は、生地を残さずに全部焼いて冷凍した方が良いとの事ですが、うちは冷凍庫が小さいのであまりパンを入れておくスペースがありません。

生地を冷凍するのは難しいですか?

もしも冷凍するとしたら、何に気を付ければいいですか?

 

冷凍ですか?? う~ん・・・・・ しかし、冷凍庫が小さいのは我が家も同じでありまして トホホ・・・

一般的な作り方で作ったパン生地を、そのまま冷凍すると言うのは恐らく無理だと思います。

無理と言うか、変なパンになってしまうでしょう。

なので、パン生地を冷凍保管したい場合の技を、いくつかご紹介しておきましょう。

その前に、どうして通常のパン生地を冷凍すると、へんてこりんなパンになってしまうのかを説明しておきます。

パン生地は、まったく発酵していなければ、冷凍にも耐える事ができます。

なぜなら、イースト菌が一番冷凍に弱いからなのです。

冷凍すると、水分が膨張するのはご存知ですか?

水を凍らすと、すこし体積が増えるのが解ると思いますが、水は氷になると少し膨らむのです。

膨らむと言っても、氷はゴツゴツしていますから、そのゴツゴツがイースト菌を破壊してしまうのです。

イースト菌は、どんどん増殖していく事でパンを膨らませます。

しかし、増殖していればしているほど、氷のゴツゴツにやられてしまうのです。

氷に破壊されたイースト菌は、力が弱まってしまい、もう元気に活動する事ができなくなってしまうのです。

ですから、もし冷凍することが予めきまっているとしたら、生地を作ったらすぐに、なるべく早い段階で冷凍することで、イースト菌を氷から守る事ができるのです。

次に冷凍による氷のゴツゴツに攻撃されるのは小麦粉のグルテンです。

ですので、いつも通り発酵が終わってしまったような場合は、翌日くらいなら問題ないと思いますが、数日経つと膨らみが弱くなるということだけは避けられないでしょう。

グルテンは風船のゴムの様なものですから、要するに風船が割られてしまうと言う事と同じで、普通に作ったパンとは違って、風船の数が少ないパンになり、ふんわりとはいかなくなってしまうのです。

では、どうしたら良いかと言いますと、初めから割れてしまう事を覚悟して、グルテンの多い小麦粉を使うのです。

それが最強力粉ですね。

普通の小麦粉(例えば日清のカメリヤ)をお使いなら、半分位を最強力粉(例えば日清のスーパーキング)にしておくだけで、氷の被害を抑える事が出来ます。

ここまでのポイントは2点になります。

 

1生地を捏ねたらすぐに冷凍する事。

2強い粉を少しブレンドすると冷凍しても安定したパンになると言う事。

 

次に、冷凍に対して強い材料を配合したパン生地にしておくと更に安心です。

冷凍に強い材料とは、油脂、つまりバターやマーガリンなどですね。

それから砂糖です。

と言う事は、しっとりとした甘めの生地が冷凍に向いていると言う事になりますね。

もっとわかり易く言うなら、色々配合されたリッチな配合なら冷凍障害を受けにくく、シンプルな配合のパンは冷凍障害を受けやすいと言う事になります。

なので、菓子パン系の生地は一番冷凍に向いていると言えるかもしれません。

さて、ここまでが材料に関する注意事項でした。

 

生地を冷凍する工程は

 

次に冷凍の工程ですが、捏ねた後の生地を40gとかの小玉にして、間隔を開けてアルミトレーか皿に並べます。

この時、下にラップを敷いておかないと皿に生地がくっついてしまいます。

皿は陶器の皿でもラップを敷けば大丈夫ですが、アルミの方が良く冷えますのでお勧めです。

ステンレスならなお良いでしょう。

冷凍庫に入れる時には、何もかけてはいけません。

そのまま冷凍庫に入れて下さい。

そして、1時間から2時間程度で固まると思いますので、固まったら冷凍庫から取り出して、ビニール袋に入れます。

出来るだけ2重にビニールでくるみ、そのまま保管します。

ビニールの中の空気を、良く吸って取っておくと、持ちが若干良くなります。

冷凍まではこれで完成です。

ここまでは、そう技術は必要ありません。

ただ、急いでやらないと生地が発酵してきてしまいますので、あわてて下さい (>_<)

次に解凍ですが、ここが肝心です。

アルミトレーや皿などにラップを敷き、間隔を開けて並べて、さらにしっかりとラップかビニール袋で皿ごと包みます。

それを室温で解凍します。

すっかり柔らかくなり、少し膨らんできはじめたら、その後の作業にかかってもOKです。

必ず膨らんで来るまで待つ事です

ここでしっかりと膨らませておかないと、その後には膨らみの弱いパンになってしまいます。

いつまでも膨らまずにベトベトしていたら、一度丸め直すと効果的です

解凍には数時間かかります。

ですから、前日から冷蔵庫へ入れておくと言う手もあります。

しかし、生地によっては冷蔵庫だと乾燥してしまう事があります。

勿論ラップでくるんでおくのですが、それでも乾いてしまう事があるのです。

もし乾くようなら、その生地は硬すぎたか、捏ね上げ温度が高すぎたか、あるいは発酵させすぎてしまったかとお考えください。

冷凍する生地を作る時は、いつもよりも2℃くらい生地の温度を低く捏ね上げる事を憶えておいて下さい。

解凍時に膨らみの良い生地なら、その後も元気に膨らんでいくでしょう。

あとは通常の作業で大丈夫です。

いかがですか?

発酵する事で美味しくなるパンですが、冷凍する際は発酵させ過ぎてはいけないと言う事を憶えておいて下さいね。

解凍後に発酵からスタートすることで、冷凍生地とは思えないパンに仕上がるのです。

それから最後にもう一つだけ。 イースト菌の量を少し増やしておいた方が失敗がありません。

2倍まではいりませんが、1,5倍位は入れた方が上手くいくと思います。 

生地の冷凍に関してはこちらの記事も参考にしてみてください。

 

sizuasa.hatenablog.com