では、いつも私が作っているごくごく普通なレシピだけど、何とも美味しい焼き込み調理パン(総菜パン)の作り方をご紹介していきます。
今回ご紹介する配合はこんな感じです。
小麦粉(春よ恋)・・・・・・・500g
上白糖・・・・・・・・・・・・・70g
食塩・・・・・・・・・・・・・・・8g
インスタントイースト・・・・・・・5g
卵・・・・・・・・・・・・・・・・1個
無塩バター・・・・・・・・・・・50g
ショートニング・・・・・・・・・50g
水・・・・・・・・・・・・・・240g
皆さんが普段作っている量よりは多いかもしれませんが、最低でもこれくらいの量を捏ねておかないと、発酵が不安定になりますし、生地が冷えやすくなったりします。
多めに作って余るようでしたら半分は冷蔵するなど、けして無駄にはなりませんので、この量を最低量としてお考えいただきたいと思います。
また、小麦粉の量を500g、あるいは1kgで設定しておくと、後々すべてのレシピの配合バランスがつかみやすくなりますし、何よりも解りやすく覚えやすい、しかも計量ミスを起こしにくくなります。
ベーカーズパーセントで配合をつかんでおく習慣をつけることをお勧めしています。
今回の生地は、やや甘め、そして油脂の量がやや多いので、しっとりとしていて、しかもボリュームのあるふわふわパンを目的としています。
ですので、ほんの少しだけ捏ねる際に力と時間が必要ですが、かなりおススメの方法で作っていきますので、是非お試しいただきたいと思います。
小麦粉は、国内産小麦の中でもとても力が強く、そして味の良い春よ恋を使用しました。
ぶっちゃけどの小麦粉を使うかというのはとても重要なことなのですが、今回はあまりそのことは気にしないで、気楽な気持ちで見てくださいね。
まず、いつも使っているどこにでもあるような器具をお見せします。
ボールは捏ねる際にはプラスチックでもステンレスでもガラスでも構わないのですが、発酵にはプラスチックがおすすめです。
計りと温度計は必須ですね。
そしてカードと手粉と今回は使いませんが麺棒です。
麺棒ってこんな感じの木製と、同じ形でプラスチックがありますよね。
木製は水洗いして保管が悪いとすぐにカビたりしますので、企業ではNGなのですが、製パン的には適度に生地に馴染み、かつ生地に優しいので一番おススメです。
よくこんな感じの麺棒がありますが、これはパンの成形ではあまり使い物にはなりません・・・というか必要ありません。
デニッシュとかパイに使うものなのですが、正直使いづらいです。
またよく見かけるのが、イボイボの突起が付いたプラスチックの麺棒なのですが、生地にくっつきにくいということで初心者用のように売られていますが、あれは生地のコシを折ってしまうので使ってほしくはない綿棒です。
麺棒と言うのは、手の代わりですので、生地に適度にフィットすることが大切であり、木製で慣れていくことによって成形が上達していきますので、今はお使いでなくても最後は木製にチャレンジしていただきたいと考えます。
そしていつも使っている原材料ですが
こんな感じでどこにでもあるようなものを使っています。
よほどのことがない限りは、イーストはサフのインスタント赤ラベル、油脂はバターとショートニングの併用、小麦粉は色々ですが、この二つは比較的安くて味がいいです。
左側にあるオーマイの小麦粉は微妙・・・ただ安いです。
慣れていないうちは、力の強い小麦粉を使った方がうまくいきますが、慣れてきたらほぼすべてのパンを、リスドォルのようなフランスパン専用粉で作る方が美味しくできます。
ブレンドも徐々にご紹介していきますのでお楽しみに・・・
バターは基本的に無塩を使いますが、有塩でも何の問題もありません。
その分塩を減らすべきかとよく聞かれますが、ぶっちゃけ必要ありません。
ショートニングは実に色々な種類が(業務用では)あるのですが、スーパーなどでは種類はありませんので、気にせずいきましょう。
砂糖や塩はこの際何でも構いませんし、今後オリーブオイルなども使っていきます。
なんて書くと、砂糖と塩にはこだわっているという方々に怒られそうですが、美味しいパンを作る、この一点にのみ集中していただいて、余計な雑念は捨てていただきたく、あえて普通(マニアからしたら毒)の材料で行いたいと思います(笑)
ということで、いよいよスタートしてまいりましょう。
ボールに小麦粉を入れ、その上に砂糖と塩を入れていき、イーストは砂糖や塩とは触れないように粉の上に置いていきます。
全て入れましたね・・・と言うことを確認したうえで、ホイッパにて軽くゆっくり混ぜていきます。
今回はホイッパの出番はここまでしかないのですが、画像を見ていただいてわかるように、持つ場所がやや太めになっていて、かつ混ぜる針金の部分が短くて頑丈なものを使うことがコツになります。
そうでないと力が入らずに、特にお菓子を作ろうとした場合非常に作りにくくなります。
麺棒もホイッパも、色々あるにはあるのですが、本当に使いやすいかどうか、手にフォットするか、ホイッパならきちんと力強く混ぜることが出来るかどうかにかかっていますので、高額ではありませんから是非揃えていただきたいと思います。
逆にこのようなホイッパだともう大変ですよ(汗)
持ち手が細い、針金が長い、そして細いので、液体しか混ぜられないでしょうね。
さてではゆっくりと混ぜていきましょう。
混ざりましたら、卵とお湯を入れていきます。
良く見えませんが、温度は33℃位だと思います。
比較的あたたかな日だったのでこんな感じだろうと使いましたが、完成した生地の温度はかなり低くなりました(汗)
が、そんな時の対処法も含めてこのまま進んでまいります。
卵も溶く必要はありません。
奥にバターとショートニングが計量されていますが、日ごろからバターは溶かしてはいけないと人には指導しておきながら、ほんのうっかりで溶かしてしまいました。
がこれも、ご家庭では愛嬌で笑ってごまかしてください・・・(誰に?)
ではいよいよ捏ねていくのですが、ここをホイッパで行うと手首がえらいことになりますので、すべて手で行ってください。
コツですが、左手はボールを抑えることに徹底して、絶対に生地に触れないでください。
右利きでしたら右手で捏ねていくのですが、できるだけ指先をそった形で、手の平に生地がつかないように外から内にむかって全体的に混ぜていく感じで行いましょう。
このとき、手はボールの中の右端から中央に向かって動かす動作を繰り返し、左手でボールを回すようにしていきます。
まずは水分と粉をとにかくまんべんなく混ぜましょう。
タマゴの白身がプリプリして邪魔ですが、お構いなしで続けてください。
徐々に混ざってきます・・・
手の甲とか手の平に生地が付かないように、指先で指先で・・・
時々持ち上げたりしながら・・・
そしてひねりを加えたりしながら・・・
指先に頑張って力を込めて、時にボールに叩きつけるようにしたり、押し込むようにしたりして混ぜていきます。
指先以外は生地で汚さないようにするのがコツです。
徐々にまとまってきましたね・・・
このくらいまとまってきたら台の上に移していきましょう。
ボールに付いた生地もしっかりとカードで取ってくださいね。
この時点までは、とにかく手を生地まみれにしないことが大切です。
特に手の甲を汚さないことが大切です。
私のいつものパン作り(特にフランスパン系)では、これでほぼ捏ねはおしまいなのですが、今回はかなりふっくらしたパンにしたいということと、油脂が多くてしっとりしたパンを作りたいので、珍しくここで捏ね捏ねしていきます。
家の調理台は大理石なので、このままここで捏ねますが、ステンレスの場合も多分そのままで大丈夫でしょう。
良くパンマットなどを使う人もいるようですが、結局力を加えるとズレてしまったり寄ってしまったりしますので、力を入れたい時の作業台に向いているのはこれらの大理石かステンレスで、それ以外の例えば木製やビニール素材のキッチンでしたら、大きめのプラスチックまな板をお勧めします。
厚さが2センチ以上で、やや大きめのものを用意しますと、すべての作業が行えますし生地にとって最適です。
まな板の突起と、プラスチック素材が生地を冷やすことなく、それでいて生地がフィットしますので、あらゆる製パンの捏ねや成形に向いています。
厚いものはやや高額ですが、一生ものですのでおススメです。
マットはやめた方が良いと思いますよ(涙)
では続けます・・・
ここからいよいよ手の平全体を使っていきますよ。
体重をかけながらゆっくり押したり、手前に戻したり・・・
押したり・・・
広がり過ぎたら左手でカードを使ってまとめたりしながら、さらに手の平をやや広げて面積を広くして、ゆっくりですが力強くズリズリしていきましょう。
徐々に生地が滑らかになって伸びが良くなっていきます。
この時も、手の甲には生地がつかないようにしましょう。
ズリズリだけではなく、時折このように生地を延ばすように持ち上げた入りします。
しっかりと踏ん張って、体全体で揉み込むようにするのがコツになります。
この際、ひじはまっすぐに伸ばし、手の平では時折生地をグッとつかむように握力を使っていきます。
手首やひじをまげて行うと、とても疲れますし、生地に体の力が伝わりにくくなります。
手首とひじは曲げずに、体全体で揉み込む感じです。
この時動いているのは手の指と肩だけになります。
このコツをつかむと、小麦粉3kg位まで楽勝で捏ねられるようになりますよ。
(ただ誰もそんなには捏ねないけどね・・・汗)
だいぶ滑らかになってきましたね。
では次に油脂を加えていきましょう。
油脂が非常に多いですよ・・・
しばらくはありゃりゃりゃみたいな状態ですが、これでいいのです。
揉むではなく刷り込んでいくイメージで・・・
場所を広くとって、手の平を広げながら混ぜ込んでいきましょう。
だいぶ混ざってきました・・・
もう一息です・・・
しっかり混ざって弾力も出てきました・・・
とにかく満遍なく混ぜるということを心がけましょう。
ではここで混ぜは終了して、本来であればここからかなりの時間バタンバタンしなければならないのですが、私はここで終了してしまいます。
基本的にはほぼ捏ねない作り方を行っているのですが、初めにも言った通り今回の生地はしっかりと膨らんでほしいので、これでも十分捏ねた方だと思います。
あとは発酵を取りながら、時折パンチを加えて生地を作っていきます。
ボールに薄く小麦粉を振り・・・
生地をまとめながらボールに入れていきます。
手に付いた生地も忘れずに入れていきましょう・・・
特に表面をきれいにするとかは、ここでは必要ありません。
見えにくくてすみませんが、なんと生地の温度が23,7℃ととっても低くなってしまったので、これから発酵を取る間に温めていきたいと思います。
我が家の年季の入ったオーブンに生地を入れ、そこに熱湯を入れた茶碗を一緒に入れ蓋をします。
もちろんスイッチなどはOFFで、このまま30分ほど発酵させます。
発酵機能が備わっているオーブンもありますが、私は使ったことがありません。
焼くまでは、単なる収納ボックスとして使わせていただきます。
30分後生地を台に移して、たたんでいきます。
まずは薄く広げていきましょう。
たったの30分しか経過していませんが、意外と薄く伸びますね。
油脂が多いとこのように滑らかになりやすいです。
どちらからでも良いのですが、まずは下から折り込んで・・・
上からも折り込んで・・・
更に向きを変えて・・・
また下から折り込んで・・・
そして上からも折り込んで・・・
少し体重をかけながら押し込んでいきます。
下の滑らかな部分を表面にしながら・・・・
生地をひとまとめにしていきます。
今度は奇麗に表面を張って、粉を薄く敷いたボールにもどします。
かなり滑らかなのが解りますね。
温度が24.8℃まで上がってきました。
先ほどと同じように熱湯を入れた茶碗と一緒に、オーブンの中で発酵をとります。
まだあまり膨らんだ感はありませんが、この時点で膨らんでいると逆に生地切れを起こしやすくなりますので、既定の28℃で捏ね上げるよりも、正直な話やや低めに捏ね上げて、徐々に温度を上げていく方が家庭でのパン作りでは成功しやすくなります。
この後20分発酵させます。
20分後、先ほどと同じように台に生地を移して広げていきます。
今度はやや膨らんできているのが感じ取れます。
やはり下から畳んで・・・
上からも畳んで・・・
しっかりと膨らみを感じましょう。
また方向を変えて下から畳み・・・
上からも畳んで・・・
しっかりと膨らみを感じましょう。
ここからは、生地を切らないように優しく扱ってくださいね。
表面をしっかりと張って・・・
さらに張って張って、ボールに入れます。
この時の温度はまだ25,5℃で、なかなか上がってきませんね。
だからと言って、お湯をたくさん入れて上げようとか考えてはいけません。
むしろ、この後はやや時間をかけてでもゆっくり発酵時間を取ってあげることが大切です。
特にインスタントイーストの場合は、この温度でもしっかりと発酵が進みますので、様々なレシピで書かれている温度よりも、とにかく2℃ほど低めにスタートすることをお勧めいたします。
そしてそして、何よりも重要なことは、生地の温度がどうだとか、発酵時間がどうだとかというようなことではなく、
生地のふくらみを手の平で感じ取りながら、押したら戻る生地の弾力、そして滑らかさを十分手の平に憶えさせることなのです。
すべては感性で決まります。
生地のその時々の状態をしっかりとつかんで、その後の時間や生地の取り扱い方を決めることが大切なのです。
パン作りというのは科学でありながら、実は感性が勝る世界なのです。
特にご家庭での手作りパンはまさにそこが最大のコツになりますので、今はピンとこないかもしれませんが、いずれ感じるときがきっと来ると信じて作り続けていきましょう。
なんて、またしても小難しいことを語り始めたくなるクセが、どうしても抜けませんね~
では、やや温度が低めの生地ですので、この後も熱湯茶碗とともにオーブン内で発酵させていきましょう。
そしてこちらが40分経過したところです。
だいぶ膨らんできましたので、ここから分割していよいよ成形を行っていきますが、少々長くなりましたので続きは次回といたしましょう。