焼き込み調理パンづくりを続けます。
今回は分割から行っていきましょう。
カードなどを使って生地を60gにカットしていきます。
実は、撮影もパン作りも孫娘に手伝ってもらっているので、若干いつもよりは雑なところがありますが、分割時のコツとしては、あまり生地を切り刻まないで、奇麗な表面部分を広めにしておくことが大切です。
重量もご家庭ではあまり気にすることはありませんので、いくつも生地をつなぎ合わせたりしないようにしましょう。
そして肝心なのはここからです。
分割した生地を丸めていくわけですが、ここからすでに成形作業のはじまりとなります。
手の平を使って、生地を丸めていきます。
表面の綺麗な方を上にして、生地にハリをもたせるように丸めていきます。
丸め方を細かくお伝えすることは出来ないかもしれませんが、大切なことは”表面をきれいに張る”ということです。
この際、べた付くようなら右手にのみ軽く粉を付けながらおこないましょう。
丸める土台の左手の平、あるいは作業台で丸めるにしても、丸めるその場所には粉を振らずに、生地に触れる手の平にのみ粉を少しだけ付けるようにします。
このレシピですと油脂が多めですので、比較的手にくっつきにくいはずですが、そうは言っても生地に慣れていない方は、こうはいかないかもしれません。
画像で確認できるように、生地に触れている右手の指には、一切生地が付着していませんね。
右手の指にベタッとした感触が伝わってきたら、速やかに粉を付け、けしてそれ以上ベタベタにしないようにすることがとても重要なのです。
この作業を繰り返すことによって、徐々に手が生地に慣れていきますので、最後はいかなる柔らかい生地でも手にくっつかなくなってきます。
とにかく数をこなすこと、それ以外に習得する道はありません。
次は作業台でも丸めていきます。
表面が奇麗に張ってきましたね。
作業台や手の平で丸めるのが一般的ではありますが、表面を張るということが一番の目的ですので、図のように両手で生地を下へ下へと集めていって表面を張っても構いません。
この分割丸目と言う作業は、丸い形にしたいということが目的なのではありません。 次の成形に向けて、形を整えておきたいという目的と、生地表面を張ることによって、全体的にバランスよく風船が膨らんでいけるようにすることが目的なのです。
全て丸め終わりました。
表面が奇麗に張っていますね。
ちなみに孫も一緒にやっていますので、そうするとこんな感じになります。
表面を張るということがいかに難しいのかが解ります。
初めのうちはどうしてもきれいに出来ないので、何度も何度も生地に触れていくことになり、このように生地は疲れ果ててボロボロになってしまうのです。
皆様はどちらの画像に近いでしょうか?
ただ、だからと言ってもう駄目だと言うほどではなく、油脂が多いというのはそのあたりも若干フォローしてくれますので、あきらめずにまいりましょう。
丸めた生地は、まな板などの上で20分ほど休憩させます。
これがいわゆるベンチタイムですね。
ビニールの袋などをかぶせて、絶対に乾かないようにしましょう。
ではいよいよ成形に入っていきます。
今回は伸ばしてフランクフルトに巻き込むタイプと、Uの字に成形して、焼く前に具材を乗せるタイプの成形を行っていきます。
まずは生地を伸ばしていくのですが、この生地延ばしというのが最も難しい技術であると言えます。
ですので、ご家庭では理想的な成形が出来るようになるまでにはかなりの経験を必要とすることは言うまでもありません。
そして、ふんわりしっとりしたパンになるかどうかは、この成形にすべてがかかっているのです・・・
・・・なんて言われたら、なえちゃいますよね。
確かにそう言えなくはないのですが、売り物ではありませんから気楽にいきましょう。
徐々に上達していきますから・・・
ではまず生地を伸ばしていきますが、この時も先ほど説明した通り実際に生地を延ばす場所には粉はしかないでくださいね。
そうでないとツルツルすべってうまく延ばすことが出来ないからです。
その点、これが突起のあるまな板でしたら、うまく生地がまな板にフィットして伸ばしやすいという利点があります。
生地の表面、あるいは手の平に軽く手粉を付けて伸ばしていきます。
このように二つ同時に行ってしまうのは、一種の職業病ですので、皆様は一つづつでも構いません。
綺麗な表面を作業台に向けて、思いっきり、まずは中央だけを細くする感じで押し込みます。
ここまでをなるべく一気に、そして力強く行うことがコツになります。
ここで躊躇していると、生地はどんどん手にくっついてきますので、一気に強い力で中央のみを細くしていきます。
そしてここからは1本づつ伸ばしていきますが、初めにまずは生地の中央あたりを理想の細さまで伸ばし、その細さにあわせるように徐々に左右へと手の平を移動させていきます。
こんなかんじです。
まずは右手だけで中央を細くしていきます。
こんな感じです。
そしてここからは両手で伸ばしていきます。
こんな感じで、すべてが同じ細さになりましたね。
これを出来るだけ時間をかけずに一気に行えるようになると、一気にパン作りが楽しくなってくることでしょう。
じつはこの生地をきれいに伸ばすという成形技術は、パン屋にお勤めの人であっても、あまり上手にできない人はた~くさん、た~くさんいるのです。
延ばされた生地が、伸ばしたことによって長くなっているのは当然なのですが、この一本を、張るように伸ばせるかどうかが成形のカギとなります。
つまり、この一本の生地がピンと張った状態であることで、ふっくらとふくらんでくれるのですが、たいていの場合は、伸ばした後の生地と言うのはぐったりしてしまうことが多いのです。
ここで張りながら伸ばせるか、それとも余計なストレスを与えてしまって、ぐったりとした状態にしてしまったのかによって、完成品のパンのボリューム感、ソフト感、しっとり感などが違ってくるのだということだけは知識、そして目標として覚えておきましょう。 また伸ばすというと、ついつい生地を左右に引っ張ってしまいたくなるものですが、パン生地と言うのは引っ張ると戻りたがる習性がありますので、伸ばすということ=細くすることだと覚えておきましょう。
では次にフランクに生地を巻いていきますが、この時も出来るだけ緩めに巻いてあげることで、余分なストレスがかからずきれいな形になります。
ここで引っ張るように巻いてしまうと、食べ口の悪いパンになりますし、見た目も悪くなります。
今回は串付きのフランクを使っていますので、左手で串をつかみ、左手の親指で生地のスタート部分をおさえながら、巻いていきます。
どちらの方向に巻くかは、どちらでも構いません。
ただし、巻きはじめと巻き終わりだけは同じ位置になるようにしてください。
とりあえずふんわりしたパンになるようにと言うことで、太めに巻きましたが、巻く数とか長さというのはあくまで好みです。
張りのある伸ばし方が出来るという人は、緩めに巻くことでふんわりしますし、やや生地が疲れてしまっているかな??という人は、巻くときに少しねじるように、生地にひねりをいれながら巻くことでキュッとしまります。
また、生地をくっつけながら巻いた場合と、生地と生地を離しながら巻いた場合とでも見た目がかなり違ってきますので、色々と試してみて下さい。
こんな感じで並べましたが、一番左は孫が巻いたものです。
綺麗に張りのある伸ばし方をしてある生地だと、ある程度誰が巻いてもこのようにきれいに出来上がるのです。
ということは、巻くということよりも、その前の伸ばすという成形にポイントがあるのだということが解りますね。
では次は、短めに伸ばしてUの字にしていきましょう。
それをフライパンに乗せて最終発酵をとっていきます。
こんな感じですね。
そしてコンロの上において蓋を閉め、中火で10秒ほど加熱したら火を止めます。
こうすることで、フライパンの中が発酵室代わりになります。
間違ってもそれ以上長く火を入れないでくださいね。
途中で様子を見ながら、冷めてしまうようならまた点火して、程よい温度を維持してください。
濡れすぎず、乾きすぎない、しっとりと膨らんでいく感じでお願いします。
今回は16個出来ましたので、このようにして初めに焼くパンは引き続きオーブンの中で熱湯茶碗で発酵させ、残りはフライパンに蓋をして、時間差で点火したりして順番に発酵していくように工夫していくのです。
フランクを巻いたような生地でしたら、一晩位なら冷蔵庫に入れっぱなしで、翌日に焼くことも可能です。
入れ物に入れてしっかりと乾燥防止だけは行いましょうね。
冷凍しても十分持ちますが、ゆっくり解凍を行うようにしてくださいね。
ちなみに、孫が今度は自分で伸ばすところからやりたいということで、やらせたものがこちらになります。
これもたいていの方がおちいる場面ですが、どうしても人は小指に力が入ってしまい、このように左右の端が細くなってしまうのです。
また、何度も何度もさわるので、どうしても生地が切れてベタベタとしてきますね。
なので粉を使い、そしてすべってなかなか伸ばせない・・・・の悪循環地獄が待ち受けているのです。
ですので、まずは中央をしっかりと延ばすこと、そして生地全体を伸ばしていくときは、人差し指に神経を集中させて、小指をやや浮かせるように伸ばしていくのがコツになります。
で、ようやく完成したのがこちらです。
ちょっと残念な感じですが、しかしそれでも意外とふわりと出来てくれるのがこの生地の良い点だと言えます。
私が成形したパンがふくらむとこんな感じで・・・
孫が成形したパンが膨らんだら・・・
ありゃりゃ、かなり悲惨な状態になってしまいましたね。
でも、このくらいはパン屋さんでもしょっちゅう見かけますけどね。
このUの字成形のパンには、発酵後にコーンとちくわの輪切りをのせ、マヨネーズをトッピングしましたが、私の成形したものはこんな感じになりました。
確かにふっくらとはしていますね。
そして孫のものがこちら・・・
やや残念な部分もありますが、ここまで具だくさんだと、そんなに気になりませんね。
生地の取り扱い、そして成形の良し悪しで確かに完成品に違いは出る・・・
そのことを知ったうえで、さらに品質を向上させたい人は目指せばよいし、美味しければ、楽しければそれでよいという人は、どうか気にせずに大いに楽しんでいただきたいものです。
おっとそうでした、フランクのパンも焼いていきましょう。
本当はもう少し膨らませたいのですが、いつもオーブンの中で約12分程度かかってしまうので、変に伸びてしまい大きくなりすぎる傾向がある為(つまり火力が弱いのですね)やや小さめで焼いていきます。
マヨネーズとケチャップをトッピングします。
ケチャップが流れないように、ハサミで切込みを入れています。
そして完成したのがこちら・・・
エッグウォッシュはしていないので艶はありませんが、よく見かけるフランクパンになりました。
ということで、いかがでしたでしょうか。
我が家のオーブンはかなり古いので、これが限界で、いつもはフライパンで焼いたり、ドーナツを作って焼くことの方が多いです。
特にフランスパン系は全くきれいには焼けない為に、ソフトフランスくらいしか焼きませんが、それでもかなりのアイテムはご家庭にあるもので十分作れます。
これからもレシピも含めて色々とご紹介していこうと考えていますが、それでもやはり生地の取り扱いに慣れている私と同じようにいかない場面とか、画像で紹介した場面以外のことで解らない点が出てくることでしょう。
そんな時はどうか遠慮しないで、右のお問合せからご質問くださいませ。
こんな感じに出来たよという画像もお待ちしております。